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イエメン・フーシ派、7月の船舶襲撃事件で拘束した乗組員を解放

この攻撃では少なくとも乗組員4人が死亡、貨物船「エタニティC」は沈み、生存者は救助後にフーシ側に拘束されていた。
2025年1月24日/メキシコ、イエメン・フーシ派に拘束されていた乗組員の男性(AP通信)

イエメンの親イラン武装組織フーシ派が3日、今年7月に紅海で起きた貨物船攻撃後に拘束した乗組員を解放したと明らかにした。

この攻撃では少なくとも乗組員4人が死亡、貨物船「エタニティC」は沈み、生存者は救助後にフーシ側に拘束されていた。

フーシ派は地元のテレビチャンネルを通じて声明を発表。解放された乗組員はオマーンに移送されたと説明した。

オマーン空軍の機体が同日、首都サヌアに到着し、その後離陸したことが民間のフライト追跡データで確認されている。

一方、解放された乗組員の国籍など詳しい内訳は明らかになっていない。同船にはフィリピン人クルー9人を含む複数国籍の乗組員が乗船し、フィリピン政府は解放を受けて安堵の意を示した。

この攻撃は紅海航路という重要海域での事件ということで、国際的な非難の声が上がった。

エタニティCの他にも、過去からフーシ派は紅海およびアラビア海域で商船を複数回攻撃し、100隻を超える船舶を標的にしたという報告がある。これまでに沈没した船は少なくとも数隻、乗組員の死傷者も複数に上る。

今回の解放について、フーシ派は「攻撃後に乗組員が船を放棄し、民間人として救助した」と説明していたが、これを受け何故今になって解放したのか、その理由は明らかになっていない。過去にも拘束された乗組員が数か月後に解放された例はあったものの、今回のような大規模攻撃と沈没を伴う事件は異例である。

現在中東地域はイスラエルとパレスチナをめぐる緊張下にあり、フーシ派がこれまで航行船舶を攻撃していた背景には、湾岸、中東地域における政治、軍事の複雑な対立がある。

紅海〜スエズ運河を経由する海上貿易ルートは世界経済にとって極めて重要なため、このような攻撃と乗組員拘束は国際社会にとって重大な懸念であり続けていた。

今回、拘束されていた乗組員の解放が実現したことで、一部関係国および家族は安堵している。しかし、多くの船舶が依然として危険にさらされており、紅海を巡る安全保障リスクが根本的に解決されたわけではない。今後、国際社会や航行国による監視・防護体制の強化が改めて問われることになるだろう。

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