◎クルド人女性のアミニさんが殴り殺された事件は発生から2カ月半を迎えた。
イランの道徳警察に抗議するイラン人サポーターが25日、カタールワールドカップのスタジアムやその周辺などで抗議した。
ウェールズ戦を観戦したイラン人サポーターの一部は首都テヘランで道徳警察に殴り殺されたアミニ(Mahsa Amini)さんの写真を掲げたり、アミニさんの名前が書かれたTシャツを着用した。
これに親政権派のサポーターは激しく反発し、デモ隊を罵倒した。
報道によると、一部のサポーターは国旗を取り上げられたり、殴られたりしたという。
カタールの警備担当者も反イランを示唆するTシャツを没収したと伝えられている。
クルド人女性のアミニさんが殴り殺された事件は発生から2カ月半を迎えた。アミニさんは9月13日、テヘランを訪問中にヒジャブ(スカーフ)を適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
デモはイランから世界に広がり、多くの人々がイラン指導部を非難している。一部の西側諸国はイランに新たな制裁を科した。
SNSには「親政権派に殴られた」「国旗を奪われた」「服を破られた」などといった投稿が多数寄せられている。
ツイッターで共有された動画には、「女性、生命、自由」と書かれたTシャツを着たサポーターたちが侮辱的な言葉を浴びせられるところが映っていた。
あるイラン人サポーターは新政権派の苦情を受けた警備員から腕と胸に書いたアミニさんのペイントを洗い落とすよう命じられたと報告した。
別の女性はアミニさんの顔が描かれたTシャツを脱ぐよう命じられたツイッターに投稿し、カタール政府を非難した。「人権侵害国家のカタールはワールドカップを開催しながら女性を弾圧しています!」
ある親政権派の団体はアミニさんのTシャツを着た女性を携帯で撮影し、「イランに戻ったら焼き殺す」と脅迫していた。
試合はイランが2-0で勝利したが、キックオフ前にイランの国歌を歌った選手たちにブーイングが浴びせられ、残念な試合となった。
イランの選手たちは21日の試合では国歌斉唱を拒否し、デモ隊に連帯を示したように見えた。
あるサポーターは元イラン代表のガフーリ(Voria Ghafouri)氏の名前が書かれた帽子を着用していた。
イラン系クルド人のガフーリ氏はイラン政府に関するプロパガンダを広めたとして24日に逮捕されたと伝えられている。
ガフーリ氏は28回代表のキャプテンを務め、2018年のロシア大会にも出場した。
国連人権理事会は今週、イランにおける反政府デモの弾圧を調査する調査団設置決議を採択した。
同理事会は声明で、「イランの人権は危機状況にあり、この9週間で300人以上が死亡し、1万4000人が逮捕された」と報告している。
イラン政府は決議を政治的策略と断じた。