◎ガザ当局によると、パレスチナ側の死者は28日時点で3万6171人、負傷者は8万1400人を超えた。
米国の慈善団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」は29日、パレスチナ・ガザ地区南部ラファでの支援活動を一時停止したと発表した。
WCKは声明で、「イスラエル軍による攻撃が激化しているため、活動を停止せざるを得ない状態だ」と強調した。
現地メディアによると、イスラエル軍は29日早朝からラファへの空爆を再開したという。
イスラエル政府は26日のラファ避難民キャンプに対する空爆を「悲劇的な事故」と呼び、誤爆であると認めた。この空爆とその後の大火災で少なくとも50人が死亡、300人近くが負傷したと報告されている。
WCKはX(旧ツイッター)に投稿した声明で、「多くの家族がラファにおけるイスラエル軍の攻撃に直面し、再避難を余儀なくされている」と書き込んだ。
またWCKは「27日には10万食を提供し、この一時停止を解除出来次第、その数を増やす予定である。26日以降、物資を積んだ58台の大型トラックがガザに入った」と付け加えた。
WCKは先月初めのイスラエル軍の空爆で職員7人が亡くなった後、つい最近活動を再開したばかりであった。
支援の継続に苦慮している団体はWCKだけではない。
国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は声明で、「5月6日以降、ガザ地区に意味のある物資はひとつも入っておらず、2つの主要国境検問所を今すぐ開放せよ」と訴えた。
またMSFは「ラファの施設で働くスタッフと患者が激しい戦闘のため、27日夜に緊急避難を余儀なくされ、この施設での医療援助は事実上停止された」と嘆いた。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、ラファから別の地域に逃れた市民は28日時点で100万人近くに達したという。
MSFを含む19の援助機関は共同声明で、「イスラエルの攻撃が援助団体や医療チームの対応能力を崩壊させた」と非難。「停戦を実現しなければ、戦闘だけでなく、食料や医療不足による死者が急増する」と述べた。
しかし、イスラエルの国家安全保障顧問は29日、公共放送KANのインタビューで、「ハマスおよびイスラム聖戦の軍事能力を破壊する目標を達成するためには、あと7カ月間戦わなくてはならない」と述べ、戦闘が年内いっぱい続くという見方を示した。
ガザ当局によると、パレスチナ側の死者は28日時点で3万6171人、負傷者は8万1400人を超えた。