◎世界銀行は2002年以来、アフガニスタンの再建および開発プロジェクトに53億ドル(約5,800億円)を提供してきた。
8月25日、世界銀行は武装勢力タリバンに乗っ取られたアフガニスタンへの資金提供を一時停止すると発表した。
タリバンの政権奪取は国の再建に向けた見通しを曇らせ、女性の権利に深刻な影響を与えるという懸念を引き起こした。
国際通貨基金(IMF)は先週、アフガニスタンへの資金提供を停止し、ジョー・バイデン大統領もアフガニスタン中央銀行が米国内で保有している資産を凍結した。
世界銀行は2002年以来、アフガニスタンの再建および開発プロジェクトに53億ドル(約5,800億円)を提供してきた。
世界銀行の報道官は英BBCニュースの取材に対し、「アフガン国内のプロジェクトに対する資金提供を一時停止し、弊行の方針と手順に沿って注意深く監視および評価を続けます」と述べた。「私たちは国際社会や開発パートナーと緊密に協議し、アフガニスタンの人々を支援し続ける方法を模索しています...」
世界銀行は先週、首都カブールに拠点を置く部署の職員と近親者を隣国パキスタンに避難させたと明らかにしていた。
タリバン暫定政府は国の運営に欠かせない資金の確保に苦労しており、世界銀行の決定で資金繰りはさらに厳しくなった。
アフガニスタンの主要な貸し手であるIMFも先週、今後のタリバンの動向に懸念を表明し、資金の提供を一時停止すると発表した。
IMFの報道官は声明の中で、「国際社会はタリバンを認めておらず、信頼性が欠如していることは明らか」と述べ、決定を擁護した。タリバンは8月23日から約4億4,000万ドル(480億円)の外貨準備を利用できるようになる予定だった。
さらに、バイデン政権はタリバンが首都カブールを制圧してから数日後、アフガニスタン中央銀行が米国内で保有している資産を凍結し、タリバンの資金元を断った。同行の準備金は約90億ドル(1兆円)で、その大半を米国内で保有している。
一方、首都カブールの空港で避難作戦を継続しているアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は25日、「アフガン国内で避難を待っている米国民は1,500人にのぼる可能性がある」と述べた。
タリバンは空港の外で通行人を足止めしており、アフガン人数千から数万人が危険にさらされている。ただし、空港の近くは米軍の管理下に置かれているため、命にかかわる危険な状況にはないと伝えられている。
バイデン大統領は米軍の完全撤退は予定通り8月31日に完了すると述べたが、ブリンケン国務長官は記者会見の中で、「31日を過ぎても米国民を避難させる努力は継続される」と約束した。
アフガニスタン戦争の基本情報
・1996年~2001年、タリバンは国内の全ての女性にブルカ(目の部分だけを開けるイスラム教のヴェール)の着用を強制し、女性の教育を10歳未満に限定し、即決処刑を含む残忍な刑罰を推進した。
・アメリカ主導の連合軍は2001年10月にアルカイダやタリバンを含むジハード組織を追放した。その中には9.11同時多発テロの首謀者であるウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。
・アメリカはアフガニスタン政府と軍に800億ドル(約9兆円)以上投資し、武器と兵力の強化を支援した。
・2020年2月、アメリカのドナルド・トランプ前大統領はタリバンとの歴史的な和平合意に達した。
・タリバンはアメリカとの取引の中でアフガニスタン政府と和平に向けた協議を推進すると約束したが、交渉は破綻した。
・タリバンやイスラム国(ISIS)を含むジハード組織は連合軍への攻撃を再開し、戦争は20年たった今も続いている。