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原油オプション市場、1バレル=150ドルに達するリスクも


トレーダーの間ではブレント原油が4月末までに150ドル以上に上昇するとの見方に基づく取引が急増している。
油田のイランの国旗(Getty Images)

中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡の事実上の封鎖が続く中、原油市場では価格急騰への警戒感が一段と強まっている。特にオプション市場では価格が1バレル=150ドルに達する可能性を織り込む動きが急速に拡大しており、供給不安が金融市場全体に波及している。

オプション取引は将来の特定の期日(満期日)に、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で原資産を買うまたは売るという「権利」を売買する取引である。

ロイター通信によると、トレーダーの間ではブレント原油が4月末までに150ドル以上に上昇するとの見方に基づく取引が急増している。実際、150ドルで原油を購入できる権利を持つコールオプションの保有量は、この数週間で約10倍に膨らんだ。さらに160ドルや200ドル、さらには300ドルといった極端な水準を想定した取引も増えており、市場が大幅な価格変動を織り込み始めていることがうかがえる。

こうした動きの背景にはホルムズ海峡の封鎖による供給途絶がある。同海峡は世界の原油輸送の約2割を担う要衝で、米国・イスラエルによるイラン攻撃を契機に航行がほぼ停止したことで、世界的なエネルギー供給に深刻な影響が出ている。

価格はすでに急騰している。ブレント先物は戦闘開始前の水準から大幅に上昇し、1バレル=100ドル台後半で推移している。 ただし、市場は現状の価格水準にとどまらず、さらなる上昇リスクを強く意識している。特に上昇方向への備えを示すオプション取引が増加する一方、下落リスクに備えるプットオプションの動きは相対的に鈍く、市場心理が上振れリスクに傾いていることが特徴的である。

金融機関も供給不足の深刻さを指摘している。英金融大手バークレイズはホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合、日量1300万~1400万バレル規模の供給が失われる可能性があると試算する。これは世界需要の1割以上に相当し、過去数十年で最大級の供給ショックとなり得る規模である。

一方で、市場にはなお不確実性も残る。米国とイランの間では停戦や海峡再開に向けた交渉の兆しも報じられ、これが実現すれば供給は回復し、価格上昇圧力も緩和される可能性がある。しかし、26日時点で海峡の閉鎖は続いており、航行再開の見通しは立っていない。

ホルムズ海峡の混乱は単なるエネルギー問題にとどまらず、世界経済全体に影響を及ぼしている。原油価格の高騰はインフレ圧力を強め、輸入依存度の高い国々の経済を直撃する。市場ではすでに株価の下落や資金流出が観測され、エネルギー供給の不安が金融不安へと連鎖しつつある。

今回のオプション市場の動きは投資家が最悪のシナリオを現実的なリスクとして捉え始めたことを示している。ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、原油価格は過去最高値を更新する可能性もあり、国際社会はエネルギー安全保障と地政学リスクの双方に直面している。事態の収束が見通せない中、原油市場の緊張は当面続く見通しである。

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