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ホルムズ海峡が極めて重要である理由、地政学的緊張の焦点に

ホルムズ海峡は世界のエネルギー供給にとって欠かせない要所だ。
ホルムズ海峡のイメージ(ロイター通信)

ホルムズ海峡は中東で最も戦略的に重要な海上通路であり、オマーンとイランの間に位置する狭い水路だ。この海峡はペルシア湾とオマーン湾を結び、さらにアラビア海へとつながっている。最も狭い箇所では幅が約33キロしかなく、両方向の船舶が通行できる航路はそれぞれ約3キロ程度の幅しかない。

ホルムズ海峡は世界のエネルギー供給にとって欠かせない要所だ。最新のデータによると、原油やコンデンセート、精製燃料を含めて1日当たり約2000万バレル以上、世界全体の石油消費の約5分の1に相当する量がこの海峡を通過している。サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、イラクといった主要な産油国はこの水路を通じて主にアジア市場向けに原油を輸出している。カタールも液化天然ガス(LNG)のほぼ全量をここから出荷している。

地理的な制約から、この海峡を迂回する現実的な海上ルートはほとんど存在しない。そのため中東産のエネルギー資源を輸出するには、ホルムズ海峡を通らざるを得ない状況が長年続いている。米エネルギー情報局(EIA)によると、既存の陸上パイプラインや代替ルートは限定的で、例えばUAEやサウジには海峡を迂回してオマーン湾に至るパイプラインがあるものの、これらを完全に海峡の輸送量の代替とすることは困難だ。

この戦略的位置付けから、ホルムズ海峡は歴史的に度々地政学的緊張の焦点となってきた。1980~1988年のイラン・イラク戦争中には「タンカー戦争」と呼ばれる海上攻撃が繰り広げられ、両国は互いの石油輸送を妨害しあった。近年でもイランは米欧の制裁に対抗して海峡の封鎖をほのめかすなど、緊張が高まるたびに石油市場に影響を与えてきた。米軍はバーレーンを拠点に第5艦隊を展開し、商船の航行を守っている。

こうした背景のもと、ホルムズ海峡に関する懸念は世界の原油価格に直結する。今年に入ってイラン国内の不安定化が深刻化するなか、米国はイラン政府に対して抗議者への対応や核プログラムの再開を阻止するよう強く警告している。専門家はもし地域情勢がさらに悪化し、イランが実際に海峡で船舶を対象に攻撃や封鎖行為に出た場合、世界の石油供給に重大なリスクをもたらす可能性があると指摘している。

このため、ホルムズ海峡は単なる地理的な水路ではなく、世界経済の動向やエネルギー市場の安定性を左右する重大な国際的関心事となっている。主要な産油国や消費国、そしてエネルギー市場のプレーヤーはこの地域の動向を常に注視しており、緊張が高まれば価格変動や供給不安が即座に表面化する要因ともなりうる。

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