米国、国連安保理のガザ停戦決議案に拒否権行使、大飢饉迫る
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は4日時点で5万4500人超。負傷者は13万人近くに達している。
.jpg)
米国は4日、パレスチナ・ガザ地区の紛争の即時終結を求める国連安全保障理事会の決議案に拒否権を行使し、イスラム組織ハマスを非難した。
米国を除く14カ国はイスラエル軍とハマスによる紛争の「即時、無条件かつ恒久的な停戦」と、荒廃したガザ地区における援助物資の無制限なアクセスを要求する決議案に賛成票を投じた。
イスラエルの右派議員たちはこの決議案を「ゴミ」と呼び、「ハマスを滅ぼすまでこの戦争は永遠に終わらない」と主張した。
反パレスチナを推進する超国家主義政党「ユダヤの家」のベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)治安相は米国を称賛。「国連がハマスの応援団になっていることを遺憾に思う」と表明した。
イスラエル軍はハマスに対する攻撃を継続中。保健当局は4日、ガザ地区の広い範囲で空爆と砲撃が確認され、過去24時間で少なくとも45人が死亡、数百人が負傷したと明らかにした。
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は4日時点で5万4500人超。負傷者は13万人近くに達している。
多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。
イスラエルは3月2日にガザ国境を封鎖。それ以来、物資の搬入はほぼ滞っている。
この結果、地区内のパン屋は全て閉鎖。負傷者の治療に必要な医薬品の大半が枯渇する事態となっている。国連は未曽有の大飢饉が迫っているとして、イスラエルに封鎖を解除するよう何度も呼びかけてきた。
米国のドロシー・シア(Dorothy Shea)国連大使代理は決議案について、「ハマスを非難せず、ハマスに武装解除とガザからの撤退を求めない措置は支持しない」と強調。「この決議案は米国主導の停戦仲介努力を損なう」と主張した。
ハマスは現在、トランプ米政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提案した停戦案の修正を求めている。
ウィトコフ氏が双方に示した案には「60日間の停戦」と、ガザ地区への「人道支援物資の搬入拡大」が含まれている。
イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はウィトコフ氏の停戦案を受け入れた。ハマスはイスラエル軍の完全撤退と恒久的な停戦を求めている。