◎シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
米国防総省は3日、シリア東部の米軍基地がロケット攻撃を受けたとして、敵対勢力を空爆したと明らかにした。
同省のライダー(Pat Ryder)報道官は定例会見で、「ロケットランチャーや戦車を含む兵器システムを空爆した」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
シリア東部では先週、イスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」とその同盟組織がアサド政権の支配下にあるアレッポ県に攻め込み、全土を制圧。正規軍への攻撃を本格化させた。
HTSは内戦下のシリアで活動する反政府組織のひとつ。北西部イドリブ県に本部がある。
ライダー氏は空爆について、「シリア東部の米軍基地の近辺に落下したロケット弾に対応したもの」と説明した。
またライダー氏は「誰がロケット弾を発射したかは分かっていないが、イランの支援を受ける組織が東部で活動していることは周知の事実である」と述べた。
さらに、「今回の空爆は進行中の紛争とは一切関係ない」と強調した。
しかし、アサド政権は3日、米国は東部・クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」に航空支援を提供していると非難した。
SDFは何年にも渡って米政府の支援を受け、シリアにおけるイスラム国(ISIS)との戦いで主導的な役割を果たいる。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は3日、東部アレッポ県郊外の集落で正規軍とSDFが衝突していると報じた。
SDFは声明で、「大規模なISISテロリストの差し迫った動きに対処するため、ユーフラテス川の東方にある7つの集落を制圧した」と主張した。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは関係者などの話しとして、「HTSらはアレッポ県全土を支配し、中部の要衝ハマ近郊で正規軍と交戦中」と伝えている。
反体制派はアサド政権の同盟国であるロシアとイランが別の戦争に気を取られているスキを突き、アレッポ県をあっさり手中に収めたとみられる。アサド(Bashar Assad)大統領を支援してきたレバノンの過激派ヒズボラもイスラエルとの戦争で弱体化している。