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米国務省がUNRWAへの制裁検討、外国テロ組織に指定する可能性も

国連や安全保障理事会関係者はUNRWAをガザでの救援活動の「基盤」と位置づけ、機能停止は人道危機をさらに深刻化させかねないと警鐘を鳴らしている。
2025年2月18日/パレスチナ自治区、ガザ地区北部に続く道路(AP通信)

国務省がUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に制裁を科すことを検討している。ロイター通信が10日に報じた。

それによると、UNRWAを「外国テロ組織」に指定する案も含まれているという。

ロイター通信は情報筋の話しとして、「国務省の対テロ部門や政策企画部門で議論が進んでいる」と報じた。

UNRWAはこれまで、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、レバノン、ヨルダン、シリアなどで数百万人のパレスチナ難民に対し医療、教育、福祉、住居支援などを提供してきた。

国連や安全保障理事会関係者はUNRWAをガザでの救援活動の「基盤」と位置づけ、機能停止は人道危機をさらに深刻化させかねないと警鐘を鳴らしている。

これに対し米側は、2023年10月7日に起きたイスラム組織ハマスによるイスラエルへの先制攻撃を契機に、UNRWAの複数職員が同事件に関与していたとするイスラエル政府の主張を根拠に、同機関の「ハマスとの関係性」を問題視。昨年1月には米国を含む複数国がUNRWAへの資金拠出を停止した経緯がある。

これに対しUNRWA側はこうした制裁検討について「前例がなく、不当」と強く反発。米ワシントンDC事務所のディレクターは声明を発表し、UNRWAは過去にも複数の独立機関によって中立・人道支援機関と評価されてきたと述べ、「FTO(外国テロ組織)指定は無根拠であり、容認できない」と訴えている。

外国テロ組織にされれば、UNRWAを通じた救援物資や医療支援、教育支援などが途絶え、特に紛争で苦しむガザや西岸地区のパレスチナ難民に対する支援が壊滅的な打撃を受けかねない。既に資金難に陥っている同機関には、さらに深刻な影響が予測される。

今回の制裁検討は米国が加盟国かつ本部所在国である国連の機関をテロ関連で制裁対象にするという、異例かつ重大な政策転換を意味する。ロイターによると、国務省内では慎重論と強硬論が対立しており、最終判断は今後数週間から数か月のうちに下される可能性があるという。

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