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米イスラエル軍がイラン核施設を攻撃、放射性物質の漏洩なし=国営メディア


トランプ氏は戦闘縮小の可能性を示唆する一方で、同時に中東への米軍の増派も進めている。
イラン、中部ナタンツの核施設の概観(ロイター通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は21日、イランにおける軍事作戦について、「目標達成に近づいており、軍事活動を縮小する可能性を検討している」と述べ、戦闘の終結をほのめかした。トランプ政権はイラン戦争の行方に関し、戦略の転換点を迎えているとの認識を示した一方で、地域の緊張は依然として高いままである。

この発言は米イスラエルがイラン中部の核関連施設を標的とする攻撃を実施するなど、軍事行動が続く中で出されたもので、とりわけナタンツ核濃縮施設への攻撃が注目を集めた。イラン国営メディアは米イスラエルが合同作戦でナタンツを攻撃したと報じたが、放射性物質の漏洩はなく、周辺住民への危険もないと伝えられている。

戦闘は2月末に始まり、米イスラエルはイランの複数の軍事拠点や核関連インフラを標的にしてきた。イスラエルはレバノンの親イラン組織ヒズボラに対する攻撃も拡大し、中東全域への波及が懸念されている。イラン側も報復としてドローンやミサイルで米軍基地や同盟国の施設に攻撃を加え、アラブ首長国連邦(UAE)やクウェートの米軍基地でも緊張が高まっている。

トランプ氏は戦闘縮小の可能性を示唆する一方で、同時に中東への米軍の増派も進めている。約2500人の海兵隊員と複数の艦艇が中東地域に追加配備され、ホルムズ海峡周辺の安全確保や米軍施設の防衛にあたっている。こうした増派は戦闘の継続を示すものとも受け止められており、矛盾したメッセージとして国内外で批判を招いている。

この戦争は地域のエネルギー市場にも大きな影響を及ぼしている。ホルムズ海峡をめぐる緊張により原油・天然ガス価格が急騰し、欧州のガス価格は一時35%近く上昇した。主要輸入国であるインドや日本などはエネルギー供給の安定確保を模索する動きを強めている。

国際社会でも対応は分かれている。EU加盟国や中東の一部は米イスラエルによる攻撃に懸念を示しつつも、イランの核開発への対応を巡って意見が一致していない。一部の国は即時停戦と外交的解決を求める一方で、米国は圧力を維持する立場を崩していない。

専門家の間では、トランプ政権の戦略は一貫性を欠き、戦闘縮小の姿勢と増派という相反する動きが混在しているとの指摘がある。停戦に向けた明確な道筋や包括的な外交戦略が欠如しているとの批判もあり、中東情勢の安定化にはさらなる外交的努力が必要だ。

今回のナタンツ核施設攻撃や米国の戦略見直しはイランとの対立が新たな局面を迎えていることを示すもので、戦争の行方と地域の安定は今後も国際社会の大きな焦点となる。

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