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米国とイラン、核協議を巡り国連安保理で対立

米国は交渉再開への「用意がある」と強調した一方で、イランは米側の要求が不当だとして拒否した。国際社会の懸念が高まる中、核問題は再び国際舞台の焦点となっている。
星条旗とイランの国旗(ロイター通信)

米国とイランは23日、国連安全保障理事会の会合で核交渉の再開条件をめぐり激しく対立した。両国の関係は今年劇的に悪化し、この日の会合でも溝は埋まらなかった。米国は交渉再開への「用意がある」と強調した一方で、イランは米側の要求が不当だとして拒否した。国際社会の懸念が高まる中、核問題は再び国際舞台の焦点となっている。

米国側の発言は、トランプ政権の中東政策を反映するものとなった。トランプ政権のオルタガス(Morgan Ortagus)中東特使は理事会で「米国はイランとの正式な交渉に前向きであるが、直接的かつ意味のある対話が条件だ」と述べた。

またオルタガス氏は「いかなる合意においても、イラン国内でのウラン濃縮活動は認められない」と強調した。米国はこの「ゼロ濃縮」政策を核交渉再開の前提としており、核兵器開発リスクを排除するために不可欠との見解を示している。

これに対し、イラン側は強い拒絶の姿勢を示した。イランの国連大使は「米国がゼロ濃縮を求めることは、公正な交渉ではなく、核不拡散条約(NPT)に基づく自国の権利を侵害するものだ」と主張した。

また大使は「米国はイランに対して既に決められた結果を押し付けようとしている」と述べ、圧力や威圧には屈しない立場を強調した。イランは一連のウラン濃縮について、平和目的であり、核を追求しているという欧米諸国の主張を否定している。

この日の会合は両国間の信頼関係の欠如を浮き彫りにした。米国とイランは今年、イスラエルとの間で起きた12日間の戦争や、米国によるイラン核施設への空爆などを背景として、対話の糸口を失っている。これまで両国は5回核交渉を行ってきたが、特にウラン濃縮の扱いをめぐる根本的な隔たりから、実質的な合意には至っていない。

加えて、欧州諸国が主導した「スナップバック(制裁再発動)」を通じた対イラン制裁が9月に再び発動されたことも、緊張を増幅させている。この制裁措置に対して、ロシアや中国は反対の姿勢を見せ、理事会の正当性に疑問を呈しているが、会合自体は予定どおり開催された。欧州3カ国はイランが2015年の核合意に違反したとして制裁を正当化しているが、イランはこれを強く否定している。

今回のやり取りは核交渉再開を望む国際社会の努力が依然として険しい道のりにあることを示している。米国は交渉再開への意欲を示す一方、イランは主権的な核権利を堅持、対立を深めている。核問題は地域の安定のみならず、世界の安全保障環境にも重大な影響を与える可能性が高く、今後の外交に注目が集まる。

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