米軍、シリアのイスラム国に対し大規模な報復攻撃を実施
今回の攻撃は先週シリア中部パルミラ郊外でISIS関連とみられる襲撃により米兵2人と民間人通訳1人が死亡した事件を受けたもので、米軍はISISの拠点やインフラ、武器施設など70を超える標的を空爆したとしている。
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米国は12月19日、シリア国内の過激派組織「イスラム国(ISIS)」に対して大規模な報復攻撃を実施した。複数の米当局者が明らかにした。
今回の攻撃は先週シリア中部パルミラ郊外でISIS関連とみられる襲撃により米兵2人と民間人通訳1人が死亡した事件を受けたもので、米軍はISISの拠点やインフラ、武器施設など70を超える標的を空爆したとしている。
米中央軍(CENTCOM)はこの作戦を「オペレーション・ホークアイ・ストライク(Operation Hawkeye Strike)」と名付けた。F15戦闘機やA10攻撃機、アパッチ攻撃ヘリ、高機動ロケット砲システム(ハイマース)などを投入して広範な攻撃を行ったとされる。攻撃にはヨルダンの戦闘機も参加したという。
ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官はSNSへの投稿で「これは戦争の始まりではなく復讐の宣言であり、今日われわれは敵を追い、殺した。多くの敵をだ」と述べ、米国の断固たる姿勢を強調した。
また、トランプ(Donald Trump)大統領はノースカロライナ州での演説で「シリアでISISのテロリストに大打撃を与えた」と語り、攻撃が成功したと強調した。トランプ氏はさらに、シリア暫定政権がこの作戦を全面的に支持していると述べた。
米軍は12月13日にシリアで行われた襲撃で、米兵2人と民間人通訳1人が死亡し、3人の兵士が負傷したと発表していた。現地の襲撃者はその場で射殺され、シリア治安部隊のメンバーでISISへの共感を持っていた可能性が指摘されている。米軍はISISとの戦闘を2014年の開始以来継続しているが、同組織は領土を失った後も散発的な攻撃を続けている。
シリア外務省は攻撃後の声明で、ISISを領内から一掃する決意を改めて示したと述べた。シリアは昨年末のアサド政権崩壊以来、暫定政権が統治している。政府は米国主導の有志連合とISIS排除に関して協力関係を維持し、先月にはシャラア(Ahmed al-Sharaa)大統領がホワイトハウスを訪問するなど、外交面でも関係強化が進んでいた。
米軍はシリアに約1000人の部隊を展開し、ISISの再興を防ぐための対テロ作戦を継続している。今回の報復攻撃は米国がISISに対する姿勢を強化し、同組織の勢力と能力を削ぐ狙いがあるとみられる。
