米国が対イラン制裁強化、「影の船団」など、核協議控える中
財務省の対外資産管理局(OFAC)はイランの「影の船団」と呼ばれる密輸船団や関連ネットワークを含む30人以上の個人・企業・船舶を制裁対象に追加したと明らかにした。
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米政府は25日、イランによる石油販売や兵器計画への資金調達を理由に制裁を大幅に拡大すると発表した。財務省の対外資産管理局(OFAC)はイランの「影の船団」と呼ばれる密輸船団や関連ネットワークを含む30人以上の個人・企業・船舶を制裁対象に追加したと明らかにした。制裁は米国内の資産凍結や米企業との取引禁止などを伴い、イラン経済への圧力を強める狙いがある。
財務省によると、今回標的となったのはイランの原油や石油製品の違法輸送に関与する船団と、それを支えるオペレーター、金融・物流関係者などである。影の船団は正式な所有者や保険情報を隠して運航され、制裁を回避しながらイラン産石油を市場に供給しているとされる。また、制裁対象にはイラン革命防衛隊(IRGC)や国防省が弾道ミサイルや通常兵器の製造に必要な部品・機材を確保するために利用しているとみられる複数のネットワークも含まれた。これらは核・通常兵器能力の強化や地域の代理勢力支援に資金を提供しているという。
ベッセント(Scott Bessent)財務長官は声明で、「イランは違法な石油販売で得た収益や世界の金融システムを通じて資金を流し込み、武器計画やテロ支援に充てている」と述べ、今回の制裁がイランの危険な行動を阻止するための重要な一手であると強調した。米国は今回の措置について、大統領令13902号、13382号、13949号に基づく権限を行使したとしている。
この動きは米国がイランに対する経済的圧力を再び強化している文脈で行われた。トランプ政権は核開発や弾道ミサイル計画を抑制するために「最大圧力キャンペーン」と称する政策を継続し、これまでに多数の個人・団体・企業などを制裁対象に追加してきた。2025年には870以上の個人・船舶・航空機が制裁リスト入りした。今回の措置により、財務省はイランの制裁回避ネットワークをさらに切り崩す狙いだと説明している。
米国とイランは現在、核開発問題を巡る外交交渉の重要局面を迎えている。2月26日にはスイス・ジュネーブで高官による第3回協議が予定されているが、制裁の強化は交渉を難しくする可能性があるとの見方が出ている。イラン側は核開発について平和目的であると主張しつつも、制裁解除を求めているが、米側は具体的な進展がなければ圧力を維持する姿勢を崩していない。
一方で、今回の制裁発動を受けて国際原油市場の反応も注目されている。原油価格は米国とイランの協議を控え、地政学的リスクの高まりを背景に一時的に上昇したが、取引状況は需給要因や在庫動向など複数の要素によって変動している。各国の外交努力と経済制裁が今後の中東と世界経済に与える影響が懸念されている。
今回の制裁拡大は米国がイラン問題への圧力を維持する強い意向を示すと同時に、外交交渉と軍事的緊張のはざまで複雑な国際情勢が続くことを浮き彫りにした。
