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シリア北東部の刑務所からISIS戦闘員200人脱走=報道

今回の事件はISIS掃討後も収容施設の安全確保が容易ではない現実を改めて示すものとなり、地域の治安維持のために国際的な協力と監視体制の強化が求められている。
シリアの難民キャンプ(Getty Images/PAメディア)

米政府は20日、シリア北東部ハサカ県の刑務所からイスラム国(ISIS)の戦闘員約200人が脱走したと明らかにした。これはクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が管理する刑務所の警備隊員が施設から退去した直後に起きたもので、脱走者の多くはその後政府軍に再逮捕されたという。

ロイター通信は米当局者の話しとして、「この中に指導者レベルの者は含まれておらず、全員戦闘員と報告を受けている」と報じた。

それによると、今回の脱走が起きる前の1月19日までに、約600人の外国籍ISIS戦闘員が別の収容施設に移送され、現在も拘束状態にあるという。再逮捕された戦闘員たちは全体のごく一部だが、放置すれば周辺地域の治安に脅威となる可能性がある。

この刑務所を巡っては、SDFが暫定政権との合意に基づき、この地域から撤退したことを受けて混乱が拡大している。政府軍がこの地域の支配権を強化する中で、SDFと政府の対立や衝突が起き、刑務所やISIS収容キャンプの管理体制が不安定になっているとの報告がある。SDFは長年、ISISとの戦闘において米国の主要な同盟勢力として機能してきたが、近年の政治的変動により支援関係が変化しつつあり、統治構造の再編が進んでいる。

数千人規模のISIS関係者やその家族が拘束されている他の施設でも影響が波及している。ハサカ県にはISIS戦闘員を収容する刑務所が複数存在し、治安部隊が再編成される中で逃亡や暴動が発生するリスクが高まっているとの懸念が専門家から出ている。また、拘留者や収容キャンプにいる女性や子どもを含む多数のISIS関係者の扱いが国際社会の課題として浮上している。

米国は今回の脱走について詳細な実態把握を進めるとともに、地域の同盟勢力との連携強化やISIS戦闘員の拘束体制の見直しに取り組む方針を示している。しかし、内戦後の混乱や政治的対立が続く中で、ISIS勢力の再活性化を防ぐ難しさが依然として課題となっている。

今回の事件はISIS掃討後も収容施設の安全確保が容易ではない現実を改めて示すものとなり、地域の治安維持のために国際的な協力と監視体制の強化が求められている。

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