▽隣国レバノンからシリアに戻った難民は今月中旬時点で30万人と推定されている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は25日、シリアのアサド旧政権が崩壊して以来、数十万人のシリア難民が近隣諸国から祖国に戻ったと明らかにした。
グランディ氏は首都ダマスカスを訪問し、暫定政権の指導者であるジャウラニ(Abu Mohammad Al-Julani、本名アフマド・シャラ)氏と会談した。
隣国レバノンからシリアに戻った難民は今月中旬時点で30万人と推定されている。
アサド(Bashar Assad)前大統領は先月初め、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。
14年に渡るアサド派と反体制派の戦いは終わり、トルコやレバノンなどに逃れた多くのシリア難民が帰国を考えている。
グランディ氏は記者会見で、「国内の状況を改善することが最優先事項である」と強調。国際社会に支援とアサド政権時代の制裁を解除するよう呼びかけた。
またグランディ氏は「難民の帰還を持続可能なものにし、全国民の生活をより良いものにするためには、経済回復、サービスの回復、治安の回復、住宅の再建など、国際社会の支援の下で復興プログラムを進める必要がある」と訴えた。
制裁の多くはアサド政権を対象としているが、そのほとんどが政権崩壊以降も維持されている。
UNHCRに登録されている難民は近隣諸国に470万人以上いる。最も多いのはトルコで290万人、次いでレバノンで75万人5000人となっている。