国連、シリア南部スウェイダ県への人道支援物資準備中
スウェイダでは2週間前、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
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国連がシリア南部スウェイダ県への人道支援物資を準備している。現地メディアが30日に報じた。
ロイター通信によると、シリア外務省は国連の要請を受け、スウェイダへの直接アクセスを許可したという。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は28日、27台の大型トラックからなる輸送隊がスウェイダに入ったと報じた。
この一団は国連や国際赤十字社・赤新月社連盟などで構成され、200トンの小麦粉、2000個の避難所キット、1000個の食料バスケットのほか、医薬品やその他食料を運び込んだ。
人道機関はシリア当局の監視の下、スウェイダに物資を輸送した。
ロイター通信は30日、情報筋の話しとして、「今後の輸送は国連が単独で行い、食料品を含む生活必需品を届ける予定だ」と報じた。
国連世界食糧計画(WFP)のシリア担当責任者はロイターの取材に対し、「さまざまな国連機関の支援を受けて輸送団を組織しており、これが脆弱なコミュニティへの全面的なアクセス開始の第一歩となることを期待している」と語った。
スウェイダでは2週間前、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
ドルーズ派はイスラム教シーア派の分派のひとつ。世界の約100万人のドルーズ派の半数以上がシリアに住んでいる。
他のドルーズ派のほとんどは1967年の第三次中東戦争でイスラエルがシリアから奪取し、1981年に併合したゴラン高原を含むイスラエルに住んでいる。
地元当局は一連の戦闘で1000人以上が死亡、数千人が負傷したと報告している。
国連は先週、スウェイダの公共インフラがこの戦闘で破壊され、人道状況が悪化していると警告。国際社会に支援を呼びかけていた。
暫定政府は衝突発生直後に軍を派遣したものの、ドルーズ派の保護を名目にイスラエル軍が軍事介入したため、いったん撤退。イスラエル政府はその後、シリア軍がスウェイダに立ち入ることを許可した。
ベドウィンは20日までにスウェイダから撤退。それ以来、国軍が治安維持任務に当たっている。
国連によると、一連の戦闘により、スウェイダ全域で推定17万5000人が避難を余儀なくされ、その多くが首都ダマスカスなどの避難所に身を寄せているという。