IAEA事務局長がイラン訪問の用意、イスラエル軍核施設攻撃受け

イスラエル軍は12日夜、イランの核施設と軍事施設に対する攻撃を開始。戦闘機で100か所以上を攻撃したと発表した。
2021年4月7日/イラン中部ナタンツ核施設周辺(Getty Images)

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は13日、イスラエル軍の攻撃を受けたイランの核施設に、状況評価のため訪問する用意があると表明した。

イスラエル軍は12日夜、イランの核施設と軍事施設に対する攻撃を開始。戦闘機で100か所以上を攻撃したと発表した。

イラン原子力庁によると、ウラン濃縮施設のある中部ナタンツの核施設が被害を受けたという。

グロッシ氏は声明で、イラン当局の情報を引用し、フォルドゥとイスファハンの核関連施設は攻撃を受けていないと述べた。

またグロッシ氏は攻撃を受けたとされるナタンツの放射線レベルの上昇は確認されていないと付け加えた。

ナタンツの被害の程度や、どの部分が攻撃を受けたかは言及しなかった。

同施設は地下に広大なウラン濃縮プラントがある。専門家は米国製の地中貫通型爆弾(バンカーバスター)が使われた可能性があると指摘している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有している。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

これは兵器級に迫る水準だが、ナタンツの生産量は軍事専門家が破壊困難と指摘する山中に造られたフォルドゥより少ない。

イスラエル軍は先制攻撃に踏み切った理由について、▽イランが核兵器保有を推進していること▽数千発の弾道ミサイルを保持していること▽中東各地の代理勢力への武器と資金の提供を挙げ、これらの脅威を取り除くことと説明している。

国営イラン通信(IRNA)はバゲリ(Mohammad Bagheri)軍参謀総長や革命防衛隊(IRGC)のサラミ(Hossein Salami)司令官ら複数の高官ほか、元原子力庁長官や著名な核科学者も死亡したと報じている。

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