◎シリア内戦の犠牲者は50~60万人と推定され、10万人以上が行方不明になったとみられる。戦前の人口のおよそ半数が国外に逃亡した。
シリアの難民キャンプ(Getty Images)

国連の世界食糧計画(WFP)は13日、資金不足のため、シリア向けの食料支援を半分に削減すると発表した。

WFPは声明の中で、「シリアにおける前例のない資金不足により、WFPの支援に頼っている550万人への援助を削減せざるを得ない」と述べている。

EUは今週、ブリュッセルで「シリアの未来を支える」第7回会合を開く予定だ。

WFPはすべての選択肢を使い果たしたため、この決定を下したと表明。限られた資源を食料支援なしでは生きられないシリア難民など300万人に優先的に配分する予定としている。

またWFPは550万人への援助を続けた場合、今年10月までに食料の在庫が完全に底をつくと警告した。

WFPシリア支部はSNSにも声明を投稿。「私たちは拡大するニーズと歩調を合わせるのではなく、人々が最も必要としている食料支援を削減するという暗いシナリオに直面している」と嘆いた。

シリア内戦の犠牲者は50~60万人と推定され、10万人以上が行方不明になったとみられる。戦前の人口のおよそ半数が国外に逃亡した。

シリアの大部分を支配するアサド(Bashar al-Assad)大統領は近隣諸国との関係改善を図り、内戦終結に向けた取り組みを続けているが、北部のクルド人自治区をめぐる問題やイスラム国(ISIS)残党との戦闘が終結する見通しは全く立っていない。

今年2月にはシリア・トルコ国境付近で壊滅的な地震が発生。5万人以上が犠牲となり、数百万人が住まいを失った。

WFPによると、シリア全土では地震が起きる前から1200万人以上が飢餓に苦しんでいたという。

アサド政権は既存の経済危機だけでなく、コロナの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻がもたらした記録的なインフレにも対処できずにいる。

WFPによると、市民の平均的な月収でカバーできる食料は子供が必要とする食料4分の1程度。多くの子供がお腹を空かせ、道端で食べ物をねだったり、ゴミ箱をあさって生活している。

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