◎イラクはフセイン政権崩壊後、国際テロ組織アルカイダの台頭を許し、その後、イスラム国(ISIS)が主導する聖戦に巻き込まれた。
国連のグテレス(António Guterres)事務総長は1日、イラクを訪問し、安定と安全を確立しようとする同国の取り組みを称賛した。
グテレス氏は故サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領を打倒した2003年の侵攻から20年となる今月、6年ぶりに首都バグダッドを訪問した。
イラクはフセイン政権崩壊後、国際テロ組織アルカイダの台頭を許し、その後、イスラム国(ISIS)が主導する聖戦に巻き込まれた。
ISISはイラク第二の都市モスルを含む広範な領土を支配したものの、2019年に全領土を失った。
グテレス氏はスダニ(Mohammed al-Sudani)首相との共同記者会見で、「イラクが直面している課題は、一夜にして生じたものではない」と語った。
またグテレス氏は1年に渡る政治的膠着を経て、昨年10月に発足したスダニ政権と野心的かつ前向きな改革案を称賛した。
さらにグテレス氏は、気候変動の影響による水危機への取り組みを支援すると約束した。
グテレス氏はイラクがシリア北東部に避難した市民を保護したことや、ISIS戦闘員の妻、未亡人、子供など、数万人を難民キャンプから同国に送還したことなどを評価した。
イラクは先週、難民キャンプから約580人をモスルの南方にあるリハビリテーションセンターに送った。
グテレス氏はイラクの行動を「世界の模範」と評する一方、「多くの女性と子供が絶望的な状況に取り残されたままである」と指摘した。
またグテレス氏はISISの攻撃で避難を余儀なくされた少数派のヤジディ教徒の帰還と、イラク北部のクルド人自治区で争点となっている予算問題と石油・ガス取引に関する法律について合意に達するよう強く呼びかけた。
グテレス氏は2日にクルド人自治区を訪問し、クルド人指導者と会談する予定だ。