ガザ配給所での死者1000人超、餓死者も急増、大飢饉迫る

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は22日午後の時点で5万9106人、負傷者は14万2511人となっている。
2025年7月22日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部の食料配給所近く(AP通信)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は22日、5月末以降、パレスチナ・ガザ地区の食料配給所とその周辺で殺害された市民が1000人を超えたと明らかにした。

米国とイスラエルが運営するガザ人道財団(GHF)は5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始した。

OHCHRによると、その大半がGHFの施設付近でイスラエル兵に射殺されたり、砲撃に巻き込まれて死亡したという。

イスラエル軍は22日、中部や北部で地上作戦を継続。保健当局は過去24時間で少なくとも24人が死亡したと報告している。

一方、地元の保健当局は22日、過去数日で80人の子供を含む少なくとも101人が餓死したと明らかにした。

国連と人権団体はイスラエルの国境封鎖とほぼ2年に及ぶ戦争により、「壊滅的な大飢饉」が迫っていると警告している。

法と秩序の崩壊により、配給所とその周辺では略奪が横行。混乱と暴力に拍車をかけている。

イスラエルはイスラム組織ハマスが援助物資を横流しし、態勢を立て直そうとしていると非難しているが、その証拠は示していない。

またイスラエルは国連がハマス戦闘員にも食料を提供していると主張している。

GHFは22日、OHCHRが発表した死者数を「虚偽」と一蹴。死者数を過大報告し、イスラエルを悪者にしようとしていると主張した。

イスラエルとハマスの停戦交渉は難航しており、立場の隔たりが埋まるかは不透明な情勢だ。

トランプ(Donald Trump)米大統領は今月初めにイスラエルが60日間の停戦に向けた条件に同意したと明らかにした。

イスラエルの政府高官は双方が60日間の停戦に合意した場合、イスラエルはその期間を利用して、「ハマスが武装解除することを条件とする恒久的な停戦」を提案する用意があるとしている。

イスラエル側は5月末にトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めていた。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案していた。

トランプ氏はイスラエルが同意した停戦の条件を明らかにしておらず、ウィトコフ氏が示した案と同じかは不明である。

ハマスは過去の協議でも「恒久的な停戦」を求めてきた。

一方、ハマス壊滅を目指すイスラエルは「期間を定めた停戦」には応じる姿勢を示している。

ハマスの報道官は先週末、イスラエルとの停戦交渉について、「すべての人質(遺体含む)を解放し、恒久的な停戦合意を締結する用意があると繰り返し表明してきたが、イスラエルがこれを拒否している」と主張した。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、60日間の停戦が成立した場合、ハマスは10人の人質と18人の遺体を段階的に返還することになる。

イスラエルはその見返りとして、国内の刑務所に拘留しているパレスチナ人を釈放する。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は22日午後の時点で5万9106人、負傷者は14万2511人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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