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国連人権理事会、イランの抗議デモに対する「残忍な弾圧」を非難

この決議にはフランス、メキシコ、韓国など25カ国が賛成票を投じた一方で、中国やインドなど7カ国が反対、14カ国が棄権した。
2022年9月19日/イラン、首都テヘラン近郊、道徳警察の暴力的な取り締まりに抗議するデモ(AP通信)

国連人権理事会は先週末、イランで拡大する反政府デモに対する治安当局の「残虐な弾圧」を非難する決議を採択した。同理事会は緊急会合を開き、暴力的な鎮圧に関する調査をさらに拡大し、2022年に設立された既存の国連調査団の任務を延長する決議を可決。この調査団は、最近の抗議行動に関連する人権侵害を文書化し、将来の法的措置に備えることが求められている。

ターク(Volker Turk)高等弁務官はイラン当局に対し、「抑圧をやめ、撤回するよう」強く求めると述べ、拘束者の運命を懸念する姿勢を示した。会合では治安部隊による実弾使用や過度な武力行使についての報告が紹介され、非武装の抗議者を含む多数の死者が出ているとの指摘がなされた。

この決議にはフランス、メキシコ、韓国など25カ国が賛成票を投じた一方で、中国やインドなど7カ国が反対、14カ国が棄権した。イランに対する非難決議への反対や棄権は各国の外交的立場や内政干渉を巡る懸念を反映している。中国はイランの情勢は「内政問題」であると述べるなど、決議の正当性に疑問を呈した国もあった。

決議可決後、イランの在ジュネーブ国連代表は同理事会の緊急会合を「政治的動機のもの」と非難し、外部からの干渉を拒否すると反発した。イラン側は独自の説明責任メカニズムを有していると主張し、国際的な非難を拒絶している。同代表は政府側の集計として、抗議デモに伴う死者数を約3000人と報告した。

一方で外部の情報や人権団体の報告では、5000人以上の死者が出ている可能性があるとする見方も示されている。これには治安部隊の構成員500人余りも含まれているとの指摘があり、実際の死者数は不明な点が多い。

ターク氏は今回の弾圧を「イラン現代史で最悪の大量殺害」と評し、戦後のニュルンベルク裁判を引き合いに出して国際的な責任追及の重要性を訴えた。

今回の緊急会合は反政府デモの発端となった経済的困窮やインフレに対する不満が、国全体に広がる大規模な抗議行動へと発展し、それに対する治安部隊の武力対応が国際的な批判を招いた結果として開催された。情報統制やインターネット遮断が行われる中で、実態の把握は困難を極めており、今後の調査の進展が注目される。

国連調査団の任務延長はさらに包括的な人権侵害の解明と責任追及につながる可能性があるが、資金問題など実務面の課題も指摘されている。イラン側と国際社会の対立は激しく、人権問題を巡る緊張は継続する見込みである。

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