◎サウジとUAEは原油の高騰で大きな利益を上げており、即時の増産には応じないと信じられている。
2022年3月16日/サウジアラビア、首都リヤドの政府庁舎、サルマン皇太子とジョンソン英首相(Stefan Rousseau/Pool/AP通信)

イギリスのジョンソン首相は16日、サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)の指導者と会談し、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の高騰に歯止めをかけるよう要請した。

ジョンソン首相は先日の議会演説で、再生可能エネルギーへの移行に向けた投資拡大と、ロシア産エネルギーへの依存を減らす取り組みを推進すると述べていた。

OPECの2大生産国であるサウジとUAEが増産を決めれば、先週の取引で1バレル140ドル近くに達したブレント原油先物価格は落ち着くと思われる。先物価格は現在、100ドル前後で推移している。

英首相官邸は声明で、「ジョンソン首相はサウジのサルマン皇太子と会談し、エネルギーの安定供給と再生可能エネルギーへの移行に協力することで合意した」と発表した。

ジョンソン首相は会談後の記者会見で、「生産的な会話をした」と述べたが、サウジが増産に前向きかどうかは明言しなかった。

またジョンソン首相はアブダビでザイド皇太子とも会談し、原油の供給について協議した。英首相官邸は声明で、「両者は世界のエネルギー市場の安定性を向上させるために協力することの重要性と、両国の関係を強化することで一致した」と述べている。

ジョンソン首相はアブダビの記者団に、「プーチン大統領の決定が世界規模の不確実性と原油価格の高騰を引き起こしている」と語った。「欧州はロシアの石油と天然ガスに依存しているため、プーチンは西側を脅迫することができました。我々は(ロシアの天然資源から)独立する必要があります...」

サウジとUAEは原油の高騰で大きな利益を上げており、即時の増産には応じないと信じられている。

欧米諸国とサルマン皇太子の関係は、サウジのジャーナリストのカショギ氏殺害事件で損なわれたままである。また、サウジの宿敵であるイランの核合意再開に向けた取り組みも不安材料の一つになっている。

サウジとUAEは石油を増産する余力を持っているが、今のところ、ロシアとの協定から軌道修正する気はないように見える。コロナウイルスの大流行で石油需要は低迷し、先物価格は2020年平均で1バレル42ドル前後まで低下した

サウジとロシアが主導したOPEC+協定は、世界経済の回復に合わせて毎月徐々に生産量を増やすとしている。

UAEのエネルギー相は先週、「UAEはOPEC+協定と既存の生産調整メカニズムにコミットしている」と述べ、西側諸国をガッカリさせた。この声明は、米国のUAE大使が増産に前向きな姿勢を見せた直後に発表された。

米バイデン政権は先月、2人の高官をリヤドに派遣し、世界のエネルギー供給について協議した。しかし、サウジの報告書によると、サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王は協議に先立って行われたバイデン大統領との電話会談の中でOPEC+協定の重要性を強調したという。

ジョンソン首相の保守党も、最近サウジが81人を死刑に処したことを理由に、サウジに頼るという政府の決定に疑問を呈している。

ジョンソン首相は記者団に対し、「サルマン皇太子に人権問題を提起した」と述べ、ガソリンを求めてサウジに渡ったという批判をかわした。「サウジアラビアの状況は変わりつつあります。これからも変わっていってほしい。そして私は、サウジとのパートナーシップに価値を見出しています...」

アフィリエイト広告
スポンサーリンク