SHARE:

イギリス政府、米軍の基地使用を許可、イランのミサイル拠点攻撃へ


今回の決定はイギリスが当初、米国からの要請に慎重な姿勢を示していたことから注目される。
米空軍の輸送機(Getty Images)

イギリス政府は20日、イランがホルムズ海峡付近で商船を標的にする中、イランのミサイル拠点に対する米軍の攻撃に際し、米国に対してイギリス軍基地の使用を認めることを閣議決定したと発表した。この決定はスターマー政権の方針転換を象徴するものであり、地域情勢の深刻化と米英同盟が背景にあると見られる。

イギリス政府によると、許可された基地はイングランド南西部のRAFフェアフォードとインド洋上の英領基地であるディエゴ・ガルシア。この基地を拠点に、米軍がイランのミサイルサイトを標的とする空爆や防衛的な軍事行動を実施することが可能になるという。政府はこれを閣議決定し、ホルムズ海峡での航行安全確保と同盟国の防衛が目的と説明した。

今回の決定はイギリスが当初、米国からの要請に慎重な姿勢を示していたことから注目される。スターマー(Keir Starmer)首相は国際法に基づく適法性や紛争への関与の程度について疑問を呈し、米国の要請を一度は拒否した。しかし、イラン側が中東地域でイギリスの同盟国を標的とする攻撃を行ったことなどを受け、最終的に基地使用の承認へと方針転換した。

イギリス政府は声明で、イランが国際的な商船や同盟国の船舶を標的にする行為は「地域の危機を一段と悪化させるものであり、国際海上交通の安全と経済への重大なリスクをもたらしている」と非難した。また、今回の措置は「地域の防衛と同盟諸国の保護」という限定的かつ防衛的な目的であると強調した。

一方で、イラン外務省はイギリスの決定を非難し、「英国人の生命を危険にさらすもので、自国を防衛する権利は我々にある」と反発した。この発言は、イラン側がイギリスの方針転換を「挑発行為」」と受け止めていることを示している。

国内ではこの方針転換に対する批判的な声も根強い。英国民の多くは中東への軍事関与に否定的で、米英軍事協力の深化が国民的な支持を得られているとは限らないとの見方もある。また、野党や一部の政治家からは、スターマー政権の方針が急激に変化したことへの懸念が示されている。

外交面では、トランプ(Donald Trump)大統領がこれまでイギリスに対し、軍事協力の強化を強く求めてきたことが背景にあるとの分析もある。トランプ氏はスターマー政権の対応を繰り返し批判、同盟国としてより強い協調を期待する姿勢を示していた。

今回の承認は米英両国がイランとの対立を新たな段階へ進める可能性を示しているが、一方で両国政府はエスカレーションの回避と早期の緊張緩和の必要性も訴えている。イギリスは「紛争への関与ではなく防衛的な措置である」と強調しているものの、地域情勢の不安定さは今後も国際社会の大きな懸念材料となる見通しだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします