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UAE、ガザ南部地域にパレスチナ人向け居住区を建設へ

UAEは2020年にイスラエルと国交正常化を実現し、中東における安定化のためガザ支援を拡大する意向を示しているとされるが、具体的な計画実施については公式コメントを避けている。
2024年3月20日/パレスチナ自治区、ガザ南部ラファの検問所近く(Getty Images)

アラブ首長国連邦(UAE)はイスラエルが軍事的に支配するパレスチナ・ガザ南部地域において、避難民を収容するための大規模な複合住宅施設の建設を計画していることが明らかになった。現地メディアが5日に報じた。

ロイター通信によると、建設予定地はエジプト国境近くのラファ周辺で、UAEが建設を主導する予定だという。

ラファはかつて約25万人が暮らしていた都市だが、2年以上に及ぶ戦闘でほぼ壊滅、住民は各地に離散している。この地は米国が仲介する和平・再建計画の一環としてガザ再建の出発点となり、UAEの住宅計画もその流れの中で持ち上がった。

ロイターは関係筋の話しとして、「UAEの計画には数千人規模の避難民を受け入れる住宅提供のほか、基本的な生活インフラの整備も含まれている」と報じた。この施設は2025年10月の停戦合意で設定された「イエローライン」付近、イスラエルとハマスがそれぞれ支配する区域の境界線に隣接する地域に建設されるという。

UAEは2020年にイスラエルと国交正常化を実現し、中東における安定化のためガザ支援を拡大する意向を示しているとされるが、具体的な計画実施については公式コメントを避けている。UAEはガザのパレスチナ人を支援する人道的努力を強化し続けるとしているが、複合住宅施設についてはコメントは出していない。

ただし、この計画を巡っては政治的な実現可能性に疑問が向けられている。専門家はイスラエルの支配地域に移住することに抵抗感を持つパレスチナ人が多数存在する可能性を指摘し、人口の大半が依然としてハマス支配区域にとどまっている現状を理由に挙げている。また、イスラエル軍が地中海沿岸からラファに至る広い区域を住宅建設用地として確保しているものの、実際にパレスチナ人が移り住むかどうかは不透明な情勢だ。

トランプ政権もこの住宅計画に一定の関与を示している。米国が主導する多国籍組織「平和評議会」と、ガザの暫定的な行政を担うパレスチナ委員会と連携し、計画の管理・運営を進める意向があると伝えられる。関係筋はイスラエル支配区域での住宅建設がハマスの勢力圏から人々を移動させ、同組織の武装解除へ向けた圧力を高める狙いがあると話すが、専門家は規模が限定的であるため、本格的な政治変化につながるかを疑問視している。

ガザ地区全体の人口は約200万人にのぼるとされるが、イスラエル軍の支配地域で生活するパレスチナ人は数万人にとどまるとの見方がある。外交官や人道支援関係者は住宅や支援について、人口密集地域に重点的に提供すべきとの見解を示している。

UAEの計画は破壊されたガザの再建に向けた一歩として注目される一方、現地のパレスチナ人の受け入れ態勢や政治的影響を巡る議論が続きそうだ。

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