◎1974年のキプロス紛争でキプロス島が二分されて以来、キプロスとトルコはその地位をめぐって激しく対立してきた。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は20日、隣国の島国キプロスから分離独立した「北キプロス・トルコ共和国(通称北キプロス)」の和平交渉再開を示唆したが、北キプロスの主権と独立を保障しない限り、いかなる取引にも応じないと主張した。
この主張はキプロスにおける国連の取り組みに反するものである。
エルドアン氏は北キブロスの分離独立から49年を記念する式典で演説。トルコ系キプロス人の喝采を浴び、国家統一を目指すギリシャ系キプロス人に冷や水を浴びせた。
1974年のキプロス紛争でキプロス島が二分されて以来、キプロスとトルコはその地位をめぐって激しく対立してきた。北キプロスはトルコ軍の支援を受けて1983年に独立を宣言したが、国際社会はこれを認めていない。
北キプロスの独立を認めているのはNATO第2の軍事力を誇るトルコだけである。
エルドアン氏は演説の中で、「連邦制(国連が主導するキプロス統一方針)は不可能であることを、誰もが理解しなければならない」と述べ、国連をけん制した。
またエルドアン氏は「和平に向けた交渉を否定するつもりはないが、トルコ系キプロス人の主権、独立、国際的地位を認めない限り、交渉再開はない」と言明した。
トルコ系キプロス人のクーデターに端を発するトルコの侵攻は1983年の北キプロス独立で結実した。強力なトルコ軍はこの地域に兵士3万5000人を駐留させ、キプロスを威嚇し続けている。
この数十年間、国連が仲介した数多くの協議はトルコ系キプロス人と多数派であるギリシャ系キプロス人の間で、連邦制の下での権力分立を形成することに焦点を当ててきた。
しかし、トルコと北キプロスは2017年、トルコがこの島における恒久的な軍事的プレゼンスと憲法に明記された軍事介入権を維持できるかどうかという意見の相違により、方針を変更した。
それ以来、エルドアン氏と北キプロスの首長は米国やEUなどから非難されている2国家体制に帰結するようキプロス政府に圧力をかけている。
キプロス外務省は20日、エルドアン氏の発言は和平交渉の努力を台無しにするものと非難。北キプロスの新空港ターミナル落成はトルコ依存を強めるものだと断じた。