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トルコ、「スチールドーム」強化へ、国内企業と65億ドル規模の契約締結

スチールドームはレーダー、ミサイル、光学センサー、指揮統制センターなど、異なる迎撃レンジを持つ複数の防衛装備を組み合わせた多層防空ネットワークで、2024年7月に構想が発表されていた。
トルコの防衛大手ロケットサンのロゴ(ロイター通信)

トルコ国防産業庁(SSB)は26日、「スチールドーム」対空防衛システムを強化するため、同国の防衛大手ロケットサンと65億ドル相当の契約を締結したと発表した。

スチールドームはレーダー、ミサイル、光学センサー、指揮統制センターなど、異なる迎撃レンジを持つ複数の防衛装備を組み合わせた多層防空ネットワークで、2024年7月に構想が発表されていた。

全体で47の構成要素から成り、ドローン、巡航ミサイル、航空機、さらには弾道ミサイルなど多種多様な空中脅威に対応可能な設計とされている。

今回の契約には、既存の短・中・長距離防空システムのアップグレード版と、新たな攻撃(オフェンシブ)兵器システムの導入も含まれており、国内防衛産業の製品を100%使用するという点が強調された。

具体的には、国内の大手防衛電子企業アセルサン(Aselsan)やロケットサン(Roketsan)がそれぞれ指揮・制御システムやミサイル・迎撃ユニットの開発・量産を担う。

両社の幹部は新契約を「戦略的重要性のあるマイルストーン」と評し、空域防衛能力および抑止力の大幅な向上を目指すと表明した。

SSBは26日、この契約を通じてトルコが防衛装備の外国依存から脱却し、自国の空域防衛を自主的にまかなう体制が整うと強調。また、同国は近年ドローンの主要輸出国のひとつとなっており、スチールドームも将来的には輸出可能な防衛システムのひとつになるとした。

SSBはあわせて、防空ネットワークの心臓部となる指揮統制・センサー群の統合を図るため、AI(人工知能)を活用した戦闘管理システムの運用も視野に入れており、既存の個別システムから「ネットワーク型/統合型防衛アーキテクチャ」への移行を明言している。

ただし、関係者および軍事アナリストによると、この大規模契約をもってしてもスチールドームが全面的に稼働し、トルコ全土の空域を守る状態になるまでには数年を要するとされる。

現時点では設計と量産体制の整備段階にあり、実戦配備は段階的になる見通しだ。

今回の契約は、トルコが防衛自立と軍事技術の国産化をさらに進める姿勢を改めて示すものとなり、地域の安全保障環境が不安定な中で、国内防空・抑止力の強化に向けた大きな一歩と受け止められている。

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