◎トルコには推定400万匹の野良犬がいる。
トルコ、イスタンブール市内、野良犬(Getty-Images)

トルコ国会が30日、政府与党が提出した「野良犬管理法案」の修正案を賛成多数で可決した。

首都アンカラの市役所前では動物愛護団体がデモを行い、エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と与党・公正発展党(AKP)に抗議した。

同国には推定400万匹の野良犬がいる。最大都市イスタンブールやアンカラでも野良犬が何食わぬ顔で市内を闊歩し、路地で寝泊まりしている。

AKPは野良犬を一網打尽にし、保護施設に収容し、30日以内に引き取り手がない場合は安楽死させることを目指していた。

しかし、野党と動物愛護団体がこれに猛反発。AKPは修正案を提出し、野党に理解を求めていた。

野党と愛護団体は30日以内に引き取り手が見つからない場合に殺処分するという案に猛反発。AKPはこれを法案から削除した。

自治体は野良犬を確保し、保護施設に収容して去勢・避妊手術を受けさせる。病気の犬、狂犬病にかかっていると思われる犬、攻撃的な行動をとる犬は安楽死させることができる。

また自治体は2028年までにドッグシェルターを建設するか、既存のシェルターの状況を改善することが義務づけられる。

この規定を履行しない自治体は罰則の対象となる。野党の首長はこれを履行しないと公言しており、混乱が予想される。

地元メディアによると、複数の都市でこの法案に抗議するデモが行われ、数千人が参加したという。野党はこれを「虐殺法」と呼んでいる。

エルドアン氏は声明で、賛成票を投じた与党と他党の議員に謝意を表明した。

またエルドアン氏は野党が偽情報を拡散して政府を誹謗中傷していると非難した。

アンカラのデモに参加した女性は地元テレビ局の取材に対し、「我々は政府に何度も何度も警告しています。トルコを大量殺戮国家にしないでください」と語った。

すべての野良犬を排除するよう求めている団体「安全な町と生存権を守る会」が最近公表したレポートによると、2022年以降、少なくとも65人が野良犬に噛まれるなどして死亡したという。

アンカラでは今年初め、子供が野良犬に襲われ重傷を負う事件が発生。政府はこれを受け、この問題に対処すると約束していた。

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