トルコ、F35に関する米国との協議継続中、ロシア製S400保有続ける
トルコ国防省は声明で、S400について「最近議題に挙がっているが、新たな進展はない」と述べ、同システムの扱いに関する現状維持を強調した。
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トルコ政府は12日、米国との間で進行中のF35ステルス戦闘機プログラム再参加に関する協議にもかかわらず、ロシア製S400防空システムの保有について何ら変更はないとの立場を改めて表明した。
トルコ国防省は声明で、S400について「最近議題に挙がっているが、新たな進展はない」と述べ、同システムの扱いに関する現状維持を強調した。今回の発表は米トルコ間での制裁解除やF35再参加をめぐる交渉が続く中で行われた。
トルコと米国の摩擦は2020年に遡る。NATO加盟国のトルコがロシアからS400防空ミサイルシステムを購入・配備したことを受けて、米国はトルコをF35共同開発・調達プログラムから排除し、対ロシア制裁法(CAATSA)に基づく制裁を科した。
米国はS400がF35の機密情報に対するリスクやNATO全体の防衛システムへの脅威をもたらすとして強く懸念している。一方トルコはこの措置を不当だとして反発、S400はNATOシステムと統合しないと主張してきた。
米国側は協議が継続していることを認めつつも、法的にはトルコがS400を保有・運用している限りF35プログラムへの復帰は認められないとの立場を示している。トランプ政権のバラック(Tom Barrack)担当特使は最近、米国法がF35への再加入に際してS400の排除を求めていることを指摘し、この条件は変更されていないと説明している。
またバラック氏は両国間の話し合いは最近で最も建設的であり、今後数か月で両国の安全保障上の要求を満たす突破口が開かれる可能性があるとの見方を示した。
トルコのフィダン(Hakan Fidan)外相は先週、制裁解除に向けた道を見いだせるという見通し、米国との交渉が進展するとの期待感を示した。トルコ政府は制裁解除とF35プログラムへの再参加という2つの目標を掲げ、双方の関係強化に向けた対話を進めたいとしている。
ただし、S400防空システムの扱いは今なお最大の障害となっている。米国側は同システムがF35や他のNATO装備に対し安全保障上のリスクをもたらすとして譲らず、トルコ側はNATO統合を進めない限りリスクはないと反論している。このため、問題の核心にある法的・軍事的な立場の違いが依然として協議の焦点となっている。
トルコはNATO加盟国として米国などとの安全保障協力が重要であるものの、ロシア製防空システムの扱いをめぐる対立は長期化している。S400問題が解決されない限り、F35の調達や共同開発への復帰は困難とみられる。ただ、両国間の関係改善や外交的努力によっては、交渉が新たな局面を迎える可能性も指摘されている。
