トルコのインフレ対策、再びつまずくリスク
トルコ中央銀行は2026年のインフレ見通しを上方修正する見込みで、長引くインフレとの戦いがさらに複雑化している。
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トルコのインフレ抑制の取り組みが再び難局に直面している。トルコ中央銀行は2026年のインフレ見通しを上方修正する見込みで、長引くインフレとの戦いがさらに複雑化している。中銀はこれまで一貫して金融緩和の道を歩んできたが、インフレ圧力の強さを受けて金利引き下げを一時的に停止、あるいは緩やかに進める可能性が浮上し、政策運営上の難しさが改めて浮き彫りになっている。
トルコのインフレ率は依然として高水準にあり、1月には前月比で5%近く上昇した。この上昇は主に食品や飲料価格の高騰、年始の価格調整が要因とされ、実勢では家計の負担感が強まっている。年率ベースでは30%台に達するなど、物価上昇が国民生活に重くのしかかっている。
こうした状況を受けて、中銀は2026年末の消費者物価指数(CPI)見通しを従来の13〜19%から23%前後へと引き上げるとみられている。これは政府や市場関係者の期待を大きく上回る数字で、当初掲げていた目標である16%を大幅に超える水準となる可能性がある。
インフレ抑制の鍵となる金融政策では、中銀が金利引き下げを中心とした緩和策を進めてきた経緯がある。昨年から複数回にわたり政策金利が大幅に引き下げられた結果、37%台まで低下したが、インフレ圧力の継続を受けて政策運営の修正が迫られている。分析筋は次回3月の政策決定会合で金利据え置きや小幅な引き下げにとどめる可能性を指摘している。この方針変更はインフレ見通しが大幅な改善を示していない現実を反映したものだ。
トルコでは過去数年にわたり、インフレが大きな政治課題となってきた。高い物価上昇率は家計の購買力を削ぎ、経済全体の不確実性を高めている。政府は金融・財政政策の「引き締め」と「緩和」のバランスを模索しているが、供給制約や外部環境の変動を抑える単独の政策だけでインフレを制御することは容易ではない。実際、トルコの景気・物価動向は世界経済の影響も受けやすく、エネルギー価格や為替レートの変動が消費者物価に直接影響を及ぼしている。
政府は金融政策だけでなく、供給面での改革も必要だと指摘されている。供給側の構造改革を進め、輸入依存度の高い商品のコストを抑える取り組みが不可欠であるとの見方もある。政府は財政と金融の「厳格な一貫性」が重要であると述べる一方で、それだけでは十分でないとの認識を示し、供給サイドの政策の必要性を強調している。
エルドアン政権は長年にわたり、経済成長と物価安定の両立を目指してきたが、インフレとの戦いは依然として道半ばである。インフレ抑制策が再びつまずくリスクが高まる中、トルコ経済は今後も国内外の経済環境の変動に対応しながら、政策調整を迫られることが予想される。
