トルコ大統領「黒海の商船への攻撃容認できない」
トルコ当局は「影の船団 (shadow fleet)」と呼ばれる、対ロシア制裁を逃れて原油などを輸送するロシア系タンカーの運航に以前から警戒を強めており、今回の攻撃が域内の商業航行や海域の安全に対する懸念を一層高めるものとなったとみている。
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トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は12月1日、黒海で商船が攻撃されたことについて、「容認できない」と強く非難した。
トルコ政府によると、問題となった攻撃は11月28日、トルコ北部の海岸から約56キロ沖の排他的経済水域 (EEZ) 内で、無人水上艇がロシアと関係するタンカーを襲撃したとみられる事件だ。攻撃の責任者は判明していない。
エルドアン氏は記者会見で、このような攻撃について、「いかなる形でも正当化できない」と断言。「黒海におけるロシアとウクライナの戦争は、明白に航行の安全を脅かすものになっている。我々は関係するすべての側に対し、必要な警告を伝えている」と語った。
トルコ当局は「影の船団 (shadow fleet)」と呼ばれる、対ロシア制裁を逃れて原油などを輸送するロシア系タンカーの運航に以前から警戒を強めており、今回の攻撃が域内の商業航行や海域の安全に対する懸念を一層高めるものとなったとみている。
一方、攻撃は近年、同海域で報告が相次いでいる無人水上艇やドローンによる船舶攻撃の一例と見られている。たとえば最近、別のロシア系タンカーも同様に狙われ、損傷を受けたと伝えられており、商船の安全確保と海上交通維持への懸念が高まっていた。
これを受け、トルコは関係国に対し、外交的な働きかけを強めるとみられる。外交ルートを通じて、黒海におけるさらなる軍事的エスカレーションを防ぎ、航行の自由と安全の確保を訴える構えだ。 エルドアン氏はこうした攻撃が継続すれば地域の安定にも重大な影響を及ぼしかねないとの見方を示している。
ウクライナとロシア間の戦争は海上にも広がりを見せ、これまで主に陸上戦や制裁、外交戦が注目されてきたが、黒海ではすでに商船を含む海運・エネルギー輸送への直接攻撃が現実の脅威となっている。今回のトルコの反応は、その深刻さを改めて浮き彫りにした。
