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トルコ当局、ISIS容疑者357人逮捕、全国一斉摘発

この摘発は北西部ヤロバでの治安部隊とISIS戦闘員との銃撃戦を受けて実施されたもので、治安強化の一環として21地域で同時多発的に行われた。
2025年12月29日/トルコ、北西部ヤロバ(ロイター通信)

トルコ当局は12月30日、全国規模の大規模な治安作戦で過激派組織「イスラム国(ISIS)」関連の容疑者357人を逮捕・拘束したと発表した。この摘発は北西部ヤロバでの治安部隊とISIS戦闘員との銃撃戦を受けて実施されたもので、治安強化の一環として21地域で同時多発的に行われた。

この作戦は29日にヤロバで始まった捜査と銃撃戦の直後に展開された。この銃撃戦では警察官3人とISISの戦闘員とされる容疑者6人が死亡し、複数の治安部隊員が負傷した。ヤロバでの決戦は警察が潜伏先とみられる住宅を包囲して踏み込んだ際に発生し、約8時間にわたる激しい銃撃戦となった。

拘束された357人のうち、何人かはヤロバでの銃撃戦に関与していた疑いがあるとみられる。また、別件としてクリスマスや新年関連の祝賀行事を標的とするテロ計画に関与していた可能性がある容疑者も含まれているという。捜査当局は今回の全国的な摘発について、潜在的な脅威を未然に排除するためのものだと説明している。

今回の摘発は最大都市イスタンブールや首都アンカラなど国内各地で同時に展開された。イスタンブールでは110人以上が拘束、他地域でも複数の容疑者が逮捕された。中にはシリアなど紛争地域との接点を示すデジタル資料を所持していた者や、慈善団体を装って資金をISIS関連組織に送金した疑いのある者も含まれているという。

イェルリカヤ(Ali Yerlikaya)内相はX(旧ツイッター)への投稿で、「テロによってこの国を屈服させようとする者に機会を与えることはなく、許さない」と表明した。治安部隊は12月30日に国内の複数の捜査機関と連携し、計画的かつ組織的な拘束作戦を実施したとしている。

ISISは過去にトルコ国内で多数の致命的なテロを引き起こしており、特に2017年のイスタンブールでのナイトクラブ銃撃事件では多くの死傷者が出た。ISISはシリアやイラクでの領土支配を失った後も、地下組織として各地で脅威を維持し、トルコはその動向に警戒を続けている。

トルコ政府はこの数日、年末年始の祝賀行事期間中に過激派による襲撃計画があるという情報を受け、テロ対策を強化していた。捜査当局は、引き続き関係者の取り調べや関連ネットワークの解明を進め、追加の摘発や予防措置を講じる方針を示している。治安維持と市民の安全確保を最優先に据え、国内外の治安情勢に対応していく構えだ。

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