ガザ大飢饉、トランプ氏が新たな食料センター開設表明

開設ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は29日午前の時点で6万34人、負傷者は14万5870人となっている。
2025年7月26日/パレスチナ自治区、ガザ市の食料配給所(AP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は29日、パレスチナ・ガザ地区に大飢饉が迫る中、イスラエルと連携してガザに新しい食料センターを開設すると発表した。

イギリスやフランスを含む国際社会はイスラエルに対し、国境封鎖を解除し、ありったけの食料をガザに投入するよう求めている。

トランプ氏は英スコットランドから帰国する際、エアフォースワン機内で記者団に対し、「イスラエルが適切な配給を確保するために新しい食料センターを開設・運営する」と語った。

しかし、ホワイトハウスの報道官や当局者は配給センターの詳細や、ガザ人道財団(GHF)が運営する既存の配給所との違いについて説明しなかった。

トランプ氏は「私たちはイスラエルと協力していくつもりであり、彼らはそれをうまくやってくれるだろうと考えている」と述べた。

イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉は事実上破綻。停戦の見通しが立たない中、国際社会はイスラエルへの批判を強めている。

ガザの保健当局によると、23年10月に戦争が始まって以来、大勢の子供含む100~200人が餓死し、その大半が今年5月以降に確認されたという。

国連はこれをはるかに上回る市民が栄養失調や病気で死亡したと推定している。

イスラエルはやせ細った子供たちの写真や映像が次々と公開される中、国際的な非難の的となっている。

トランプ氏は「ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と最後に会談したのは2日前であり、彼は適切な方法で食料を配布したいと考えている」と記者団に語った。

またトランプ氏は「イスラエルはそれをやりたいと思っていると思う。彼らはそれを上手にやってくれるでしょう」と述べた。

さらに、「ガザで多くの人が飢えている。彼らは飢えている。イスラエルは彼らに食べ物を与えなければなりません。そして、私たちは彼らに食べ物を届けるつもりです」と付け加えた。

現地メディアによると、共和党の頑固なMAGA支持者もイスラエルの「兵糧攻め」にウンザリし、トランプ氏に対応を改めるよう促しているという。

トランプ氏の盟友である共和党のマージョリー・テイラー・グリーン(Marjorie Taylor Greene)下院議員は27日、X(旧ツイッター)への投稿で、「この恐ろしい戦争と人道危機を終わらせろ!」と書いた。

またテイラー・グリーン氏はガザで起きていることを「ジェノサイド(集団殺害)」と呼んだ。

しかし、一部の極右とユダヤ人コミュニティはメディアがハマスと連帯して偽情報を拡散していると主張。トランプ氏に対し、イスラエルにより巨力な兵器を提供し、ハマスを根絶やしにするよう促した。

イスラエル軍は29日も北部や中部の広い範囲で地上作戦を継続中だ。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、過去24時間で少なくとも40人が死亡したという。

米国とイスラエルが運営するガザ人道財団(GHF)は5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、配給所とその周辺で殺害された市民は1000人を超え、今も増え続けている。

国連を含む115の団体は先週、ガザの現状を「飢餓地獄」と評し、「壊滅的な大飢饉」が目の前に迫っていると警告した。

イスラエル政府はガザで餓死者が急増しているという国連などの警告を「偽情報」と呼び、「ハマス寄りの勢力がフェイクニュースを流してイスラエルを悪者にしようとしている」と主張している。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は29日午前の時点で6万34人、負傷者は14万5870人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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