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シリア大統領がワシントンDC訪問、トランプ大統領と会談

シャラア氏はアサド政権が崩壊して以来、各国の首脳と会談。内戦で荒廃したシリアを復興させる取り組みについて説明し、支持を集めてきた。
2025年11月10日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(左)とシリアのシャラア大統領(AP通信)

シリアのシャラア(Ahmed al-Sharaa)大統領が10日、訪問先の米ワシントンDCでトランプ(Donald Trump)大統領と会談した。

シリアの国家元首がワシントンDCを公式訪問するのは初めてである。

トランプ氏は会談後の声明で、「シリアの成功のために全力を尽くす」と誓約した。

シャラア氏はアサド政権が崩壊して以来、各国の首脳と会談。内戦で荒廃したシリアを復興させる取り組みについて説明し、支持を集めてきた。

アサド(Bashar Assad)前大統領は昨年末、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。

シャラア氏はHTCの元指導者である。トランプ政権はシャラア氏に対する1000万ドルの報奨金を解除。7月にはHTSの外国テロ組織指定を取り消した。

シャラア氏のワシントン訪問の目的の一つは、米国による厳しい制裁の完全解除を強く求めることであった。

財務省は10日、この会談に先立ち、「シーザー制裁」の執行停止を180日間延長すると発表した。

シーザー制裁(Caesar Act)」は正式には「シーザー・シリア市民保護法(Caesar Syria Civilian Protection Act)」と呼ばれ、2020年6月に施行された対シリア制裁法である。

この法律は、シリア内戦におけるアサド政権による民間人への弾圧や人権侵害を非難し、政権およびその支援者に対して強力な経済制裁を課すことを目的としている。

名称の「シーザー」は、シリア軍の元写真技師で、政権による拷問や虐殺の証拠写真を国外に持ち出した内部告発者のコードネームに由来する。

シーザー制裁はシリア政府だけでなく、アサド政権を支援する外国企業や個人、さらには復興事業などを通じて政権と取引を行う第三国にも適用される点に特徴がある。

これにより、シリアの再建に関与するロシアやイラン、さらには一部のアラブ諸国の企業も制裁対象となった。

この制裁はシリア経済に深刻な打撃を与え、インフレや物資不足を悪化させた一方で、人道支援への影響も指摘されている。米政府はこの法の目的を「アサド政権に対し、民間人への暴力を停止し、政治的解決に向けた交渉に応じさせる圧力」としてきた。

トランプ氏は記者団に対し、シャラア氏を「強力なリーダー」と称賛。信頼を表明した。

またトランプ氏は「シリアを成功させるためにできる限りのことをする」と約束した。

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