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シリア中央部でISISによる襲撃、米兵2人と通訳1人死亡

CENTCOMによると、死亡したのは米陸軍の兵士2人と米国人の契約通訳者で、同僚らとともにパルミラ周辺で任務に当たっていた際に襲撃を受けた。
シリア、米中央軍の兵士(CENTCOM)

米中央軍(CENTCOM)は13日、シリア中央部での武装集団による攻撃により、米軍兵士2人と米国人民間契約通訳者1人が死亡し、ほかに複数人が負傷したと発表した。イスラム国(ISIS)とみられる勢力による待ち伏せ攻撃とみられる。

CENTCOMによると、死亡したのは米陸軍の兵士2人と米国人の契約通訳者で、同僚らとともにパルミラ周辺で任務に当たっていた際に襲撃を受けた。負傷した別の兵士はヘリコプターでイラクとヨルダン国境付近の米軍基地に搬送された。攻撃はISIS戦闘員によるものとみられ、別の兵士が応戦・撃破したという。

米国防総省の報道官は声明で、攻撃の詳細を調査中であり、亡くなった兵士らの身元情報は遺族への通知が完了するまで公表しないと述べた。ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官も声明を出し、米兵や米国人が標的になった場合、厳正に対応する意向を示した。

この事件はアサド政権が崩壊してから初めて米軍の死者が出た攻撃として注目される。2024年末にアサド(Bashar Assad)前大統領が失脚して以降、シリア国内の政治情勢は大きく変化しており、暫定政権が国家統一に向けた取り組みを進めている。

近年、シリアは国際的な反ISIS連合の一員として活動し、米軍と協力してイスラム国残党の掃討作戦を進めてきたが、ISIS系勢力は依然としてシリア国内の広い地域に潜伏し、ゲリラ戦術を用いて攻撃を続けているとの分析がある。

米軍はシリア東部を中心におよそ900人の部隊を展開し、クルド主導のシリア民主軍(SDF)を支援する形でISIS殲滅作戦を展開してきた。ISISの「カリフ制」は2019年に崩壊したものの、同組織は部隊を維持し、断続的な攻撃を行っている。米国防総省および同盟国はこれらの残存勢力を完全に制圧するため、情報収集や治安維持活動を継続してきた。

今回の攻撃はシリアの安全保障環境が依然として不安定であることを示すものとなった。パルミラ周辺は歴史的遺産が多い一方で、ISISがかつて支配した地域であり、戦闘やテロの温床となる危険性が指摘されている。米軍関係者は攻撃後もシリアにおける反テロ活動を継続する意向を示しているが、安全確保と国際協力の強化が今後の重要課題となる。

また、この事件は国内外で米軍のシリア駐留政策や中東地域でのテロ対策戦略に関する議論を呼び起こす可能性がある。米議会や安全保障専門家らは米軍の役割や地域安定化への長期的な影響について再検討を迫られることになるとみられている。

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