シリア・ラタキアでアラウィー派の抗議デモが暴動に、3人死亡、負傷者多数
デモは市中心部の広場などで行われ、分権化した政治体制とアラウィー派の囚人釈放を求め人々が参加。その一部が暴徒化したとされる。
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シリア北西部ラタキア県で12月28日、アラウィー派住民らによる抗議デモが暴動に発展し、少なくとも3人が死亡、数十人が負傷した。地元当局が明らかにした。
デモは市中心部の広場などで行われ、分権化した政治体制とアラウィー派の囚人釈放を求め人々が参加。その一部が暴徒化したとされる。報道によると、亡くなった3人の中には治安部隊の隊員も含まれている。
デモは28日午後に始まり、2時間ほど経過した時点で発砲があったと伝えられている。これを受けて治安部隊が空に向けて発砲し、現場は一気に混沌とした状況となった。負傷者は市内の病院に搬送され、現場には血の跡が残っていた。地元メディアは当局者の話しとして、40人を超える負傷者が病院に搬送されたと伝えている。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は市内でアサド前政権派による治安部隊への銃撃により、隊員1人が死亡したと報じた。また、広場付近での銃撃により民間人や治安要員が負傷したとしている。抗議はアラウィー派の議長の呼びかけで行われた。
抗議者らは「我々は連邦制を求める」や「シリアは一つだ」といったシュプレヒコールを繰り返し、差別的な扱いの是正を訴えた。ある参加者は、生活と尊厳を求めるために集まったと述べ、米国やドイツ、アラブ首長国連邦(UAE)のような大国にならい、政治の権限分散を望むと語った。他の参加者は過去に自分たちの土地で多数のアラウィー派が殺害されたとし、生活権を求める正当な要求だと述べた。
ロシアに逃亡したアサド(Bashar al-Assad)前大統領はシーア派の少数宗派であるアラウィー派出身であり、その支配体制の終わりとともにアラウィー派住民の立場は不安定化していると指摘される。最近では、同地域でモスク爆破事件が発生し、数十人が死傷するなど、治安の悪化が続いている。
抗議後、ラタキアや周辺地域では治安部隊が警戒を強めており、さらなる衝突の可能性も指摘されている。地元住民や人権団体は政治的要求と安全確保の両立が求められる状況だとして、対話による解決の必要性を訴えている。国際社会もシリア情勢の安定化を求める声を強めているが、現場では依然として緊張が続いている。
