◎タリバンは女性の権利を尊重すると西側諸国に約束したが、中等学校から女子児童を排除し、女性の就職を厳しく制限し、公共の場でのブルカ(全身を覆うイスラム教のヴェール)着用を強制している。
アフガニスタンを統治するタリバンは10日、女性のジムの利用を禁じたと発表した。
西側諸国はタリバンが女性の権利を含む基本的人権を保障しない限り、アフガンへの支援を再開することはないと示唆している。
タリバンは昨年8月、旧政府を打倒し、新政権を発足させた。
指導部は女性の権利を尊重すると西側に約束したが、中等学校から女子児童を排除し、女性の就職を厳しく制限し、公共の場でのブルカ(全身を覆うイスラム教のヴェール)着用を強制している。
勧善懲悪省の報道官は声明で、「ジム利用者は男女分離の命令を無視し、ヒジャブ(ブルカ)を着用していないことから、禁止令が施行された」と述べている。
また同省は女性の公園への立ち入りも合わせて禁止した。
同省によると、この禁止令は今週施行されたという。
報道官は、「政府は公園とジムは男女別々に利用するよう求め、男女の利用可能日を設定するなど、最善を尽くしてきた」と主張した。「しかし、残念ながら、その命令に従わず、規則に違反した者が確認されたため、女性の利用を禁じざるを得ませんでした...」
また報道官は「公園の男女利用は黙認してきたが、ヒジャブ(ブルカ)を着用していない女性が散見された」と主張した。「残念ながら、多くの女性が規則を無視していました...」
報道官によると、ジムと公園に戦闘員を配置し、禁止令が遵守されているかどうかチェックするという。
ある女性トレーナーはAP通信の取材に対し、「私のジムは男女別々で運用し、タリバンのルールをしっかり守っていた」と述べた。
この女性トレーナーは「タリバンは嘘をついている」と非難した。「タリバンは女性が外出するのが気に食わず、ジムや公園から締め出したのです!」
トレーナーによると、タリバンの戦闘員は彼女のジムに10日に押し入り、運動していた女性たちをひとり残らず連行したという。
トレーナーは、「女性たちは抗議したが、銃を持った男たちに捕まり、連行された」と説明した。
カブール警察の報道官によると、ジム閉鎖に抗議した女性が逮捕されたりどこかに連行されたという情報は入っていないという。
国連女性機関のアフガン代表であるダビディアン(Alison Davidian)氏は10日、この禁止令を却下し、タリバンを非難した。「これはタリバンが公的生活から女性を継続的かつ組織的に抹殺しようとする取り組みのひとつです。国連はすべての女性と少女の権利を回復するようタリバンに求めます」
タリバン政府内では強硬派が幅を利かせているとみられ、統治に苦慮し、国際的に孤立したままだ。経済の低迷により、数百万人が飢餓に直面し、人道機関の援助に頼り切っている。
カブールに拠点を置く女性の権利活動家グループはSNSに、「ジム、公園、仕事、学校が禁止されたことで、多くの女性が自分たちに何が残されているだろうと考えるようになる」と投稿している。「女性だけでなく、子供たちにも制限がかかります。子供は母親と一緒に公園に行きますが、それもかなわなくなりました」