◎被告は被害者の父親に銃殺された。
アフガニスタンを統治するタリバン当局は7日、殺人罪で有罪判決が確定した男を公開処刑した。
タリバンの公開処刑は昨年8月の政権奪取以来初。
タリバンのムジャヒド(Zabihullah Mujahid)報道官によると、被告は西部ヘラート州出身で、5年前に男性を殺害し、携帯とオートバイを奪ったという。被害者は西部ファラー州出身と報告されている。
被告は被害者の父親に銃殺された。報道によると、タリバンの高官と市民数百人が銃殺刑を見学したという。父親はアサルトライフルの引き金を3回引いた。
ムジャヒド氏は声明で、「刑は最高裁判所の決定に基づき執行された」と述べている。またタリバンの最高指導者であるアクンザダ(Hibatullah Akhundzada)師も刑を承認したという。
被告がいつ逮捕され、いつ裁判を受けたかは明らかにされていないが、ムジャヒド氏によると、被告は罪を認め、被害者に謝罪したという。
1990年代後半までアフガンを率いた旧タリバン政権はイスラム法に基づき、公開処刑、石打ち、むち打ちなどを行っていた。
タリバン指導部は昨年8月の政権奪取後、西側諸国にイスラム法が許す範囲で女性と少数派の権利を認めると約束した。
しかし、西側の警告もむなしく、タリバンは中等学校から女子児童を排除し、女性の就職を厳しく制限し、公共の場でのブルカ(全身を覆うイスラム教のヴェール)着用を強制。複数の州でむち打ち刑を執行している。
西側はタリバンが女性の権利を含む基本的人権を保障しない限り、本格的な援助は行わないと示唆している。
国連報道官は7日、グテレス(Antonio Guterres)事務総長の声明を引用し、「死刑と生きる権利は両立しえない」という国連の立場を改めて表明。タリバンの公開処刑に深刻な懸念を示した。