◎一部地域ではケシの収穫とアヘンの抽出作業が始まっていた。
アフガニスタンのタリバンは3日、ヘロインの製造に欠かせないケシの収穫を禁止すると発表した。
地元メディアによると、一部地域ではケシの収穫とアヘンの抽出作業が始まっていたという。
タリバンは声明の中で、「農民はケシを焼却しなければならず、収穫を続ければ投獄される可能性がある」と警告した。
ケシの作付けと収穫の時期は地域によって異なる。アフガニスタンのケシ栽培の中心地である南部カンダハル州などでは収穫が始まっているが、東部は作付けを始まったばかりである。
貧困にあえぐアフガニスタンの農家はケシ栽培で国に大きな収益をもたらしていたため、この禁止令で経済はさらに冷え込むことが予想される。
タリバンの報道官は記者団に、「アヘンの抽出、ヘロイン、ハシシ(大麻製品)、アルコールの輸送、取引、輸出入も非合法化する」と明らかにした。
1990年代後半の旧タリバン政権もケシの栽培を厳しく取り締まった。当時の禁止令も全国に展開され、国連によるとケシ生産の撲滅に大きく貢献したという。
しかし、2001年の戦争でタリバンが追放されると、各地の農家がケシ栽培を再開。ケシは何百万もの小規模農家や日雇い労働者の主要な収入源になり、ケシからアヘンを抽出することで月に300ドル以上の収入を得ることができた。
国際社会はこの20年間、アフガニスタンのアヘンを撲滅するために何十億ドルも費やしたが、今日、同国は世界最大のアヘン生産国となっている。
国連薬物犯罪事務所によると、アフガニスタンでは昨年、6,000トン以上のアヘンが生産されたという。これは300トン以上のヘロインを製造できることを意味する。
アフガニスタンのアヘン生産量は、その他のアヘン生産国の合計よりも多い。
タリバンが反乱を続けていた間、旧アフガン政府は農民や仲介業者に税金を課してアヘンを国外に運び出し、何十億ドルも稼いだと言われている。一部の旧政府高官は麻薬取引に積極的に関与したと伝えられている。
米国は20年近く続いた戦争の間、アフガニスタンのケシ栽培を根絶するために80億ドル以上(約1兆円)を費やした。
同国のアヘンから製造されたヘロインの80%近くは中央アジアとパキスタンを経由して欧州に密輸される。
国連の報告書によると、2021年にアフガニスタンがアヘンで得た収入は18億〜27億ドルで、同国のGDPの7%を超えている。
この禁止令は麻薬組織に打撃を与える一方、アヘン生産で生計を立てている貧しい小規模農家も苦しめると思われる。
アフガニスタンの経済は国際援助と海外の資産が凍結されたことで崩壊し、人口の約95%が食事の確保に苦労し、一部地域では飢餓も報告されている。タリバンは先月、国連に44億ドルの人道援助を求めた。
タリバンがケシの代わりの代替作物を準備したり、収入を失った農家をサポートするかどうかは不明である。
アフガニスタンの農家は小麦粉、砂糖、食用油、暖房用オイルなどの日用品を購入する際、翌年のケシ収穫を担保にしていた。
旧タリバン政権は地域の長老やモスクの聖職者を雇って禁止令を公布し、違反者を逮捕した。