◎暫定政権を率いるアル・バシル首相もダマスカス市内のモスクを訪れ、市民を前に演説。「自由、尊厳、正義の新時代が幕を開ける」と宣言した。
シリアの各都市で13日、多くの市民が金曜礼拝のためにモスクを訪れ、旧アサド政権の崩壊を祝った。
ダマスカス市内の主要モスクや広場には多くの市民が足を運び、半世紀にわたるアサド家の支配が終わったことを祝った。
暫定政権を率いるアル・バシル(Mohammed al-Bashir)首相もダマスカス市内のモスクを訪れ、市民を前に演説。「自由、尊厳、正義の新時代が幕を開ける」と宣言した。
タハリール・アルシャーム機構(HTS)とその同盟組織は先月末、アサド(Bashar Assad)大統領の支配下にある北部アレッポ県に攻め込み、全土を制圧。HTSはその後、中部の要衝ハマに侵攻。第3の都市ホムスも奪取した。
HTSは7日、ダマスカスを制圧し、アサド政権の終焉を宣言。さらにHTS司令部は8日、アサド氏が国を去ったと発表した。
旧アサド政権は9日、アル・バシル氏率いる野党主導の暫定政府に権力を移譲することに同意した。
HTSは内戦下のシリアで活動する反政府勢力のひとつ。「国際テロ組織アルカイダ」のシリア支部とみなされ、北西部イドリブ県に本部がある。
HTSの指導者であるジャウラニ(Abu Mohammad Al-Julani)氏が暫定政府に関与するかは分かっていない。米国はジャウラニ氏に1000万ドルの懸賞金をかけている。
シリアで歓喜の金曜礼拝が行われる中、米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官は訪問先のイラクで外相らと会談。シリア当局に対し、包括的かつ非宗教的な暫定政府の樹立を呼びかけた。
ブリンケン氏はヨルダンとトルコでの会談の後、予告なしにイラクを訪問した。
トルコは長年にわたってシリアの反体制派の一部を支援してきた。米政府はこれまでのところ、シリア暫定政府とのやり取りについて言及していない。
HTSはアサド政権崩壊に唖然とし、反体制派の中にテロ組織が含まれていることに懸念を示す国民を安心させようとしている。
HTSはアルカイダとの関係やテロの歴史と決別したと主張しているが、欧米諸国はHTSを含む複数のグループをテロ組織に指定している。