◎シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
2024年11月29日/シリア、東部アレッポ県郊外、イスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」の戦闘員(AP通信)

シリアの反体制派が東部アレッポ県から正規軍を追い出し、全域を支配したとみられる。現地メディアが11月30日に報じた。

イスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」は今週、アサド政権の支配下にあるアレッポ県に攻め込み、複数の集落を占領。正規軍への攻撃を本格化させたと伝えられている。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、HTSとその同盟組織は県全土を占領し、空港も支配下に置いたという。

HTSらは正規軍の反撃をほとんど、あるいは全く受けずに県全土を占領したとされる。

国営シリア・アラブ通信(SANA)は30日、アサド(Bashar Assad)大統領の声明を引用し、次のように報じた。「シリアはテロリストとその支持者から領土の完全性を守り続けることができる。敵の攻撃がどれほど激化しても、政府と国民は敵を打ち負かすことができる...」

イギリスのNGOシリア人権監視団によると、HTSらはアレッポ国際空港を簡単に制圧したという。戦闘員たちは空港を占拠したとSNSに投稿した。

アルジャジーラは目撃者などの話しとして、「正規軍とロシア兵はHTSが来るはるか前に撤退を終えていた」と伝えているが、詳細は不明だ。

HTSは30日午後、市中心部に到達し、自治体の首長らと協議していると声明を出した。

赤っ恥をかかされたアサド氏が反撃に出るかは不明である。正規軍はロシアの民間軍事会社ワグネルなどと何年も前から反体制派やイスラム国(ISIS)の残党との戦闘を続けてきた。

軍事アナリストたちは反体制派がアサド氏の同盟国であるロシアとイランが別の戦争に気を取られている間に、着々と準備を進めてきたという見方を示している。

シリア反体制派の主要な支援国であるトルコ政府は今週、ロシア、イラン、トルコが主導する合意に反して、正規軍による反体制派支配地域への攻撃を止めることができなかったと述べていた。

トルコの治安当局者によると、HTSによる今回の攻撃は正規軍の攻撃を止め、市民の命を守るために計画されたものだったが、正規軍がアレッポ県から撤退し始めたため、HTSは攻撃範囲を拡大したとされる。

HTSは内戦下のシリアで活動する反政府組織のひとつ。北西部イドリブ県に本部がある。

シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

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