◎アサド政権はロシアの民間軍事会社ワグネルと連携して反体制派の最後の拠点があるイドリブ県の完全制圧を目指している。
シリア・アサド政権が北西部イドリブ県の市場を砲撃し、子供を含む民間人少なくとも2人が死亡、16人が負傷した。救助ボランティア団体「ホワイト・ヘルメット(シリア民間防衛隊)」が12月31日、明らかにした。
それによると、政府軍はイドリブ県中心部の市場に砲弾を撃ち込んだという。
負傷者を受け入れた病院の担当者はカタールの衛星テレビ局アルジャジーラの取材に対し、「子供4人を含む14人が手術室に運ばれ、うち2人は重体である」と語った。
また担当者は政府軍がイドリブ県への攻撃を強化したため、負傷者の受け入れ態勢を強化する必要があると述べ、国際社会に支援を呼びかけた。
アサド政権はロシアとトルコの仲介で2020年3月に反体制派と停戦協定を結んだが、これを無視して空爆・砲撃を続けている。
市場への砲撃を目撃したという男性は地元メディアに、「ロシアの民間軍事会社がこの地域を繰り返し砲撃している」と語った。
アサド政権はロシアの民間軍事会社ワグネルと連携して反体制派の最後の拠点があるイドリブ県の完全制圧を目指している。
イドリブ県の人口は約450万人と推定とされ、その大半が内戦によって住居を失った国内避難民である。
ホワイト・ヘルメットは31日、政府軍がアレッポの難民キャンプなどを30日未明に砲撃し、子供を含む数人が負傷したと明らかにした。
国連人道問題調整事務所(OCHA)のグリフィス(Martin Griffiths)事務次長(人道問題担当)によると、イドリブ県はシリア北西部で最も人口密度が高い地域とされ、人口約450万人のうち少なくとも190万人が県外の避難民だという。
砲撃を受けた市場で出店を経営する男性はアルジャジーラの取材に対し、「ほんの一瞬のうちに市場は血の海となり、埃が舞った」と語った。
また男性は「市場に反体制派の拠点はなく、非武装の民間人が狙われたことに怒りを感じる」と述べた。
アサド政権を支援するイランの宿敵であるイスラエルは30日、アレッポなどにあるアサド政権の拠点数カ所を空爆した。
イギリスのNGOシリア人権監視団によると、イスラエル軍機はアサド政権の軍事基地、空港、親イラン民兵の拠点、武器・弾薬の保管庫などにミサイルを撃ち込んだという。
この空爆でアレッポと軍事基地の滑走路は使用不能になったとみられる。
イスラエル軍はアサド(Bashar al-Assad)大統領の支配下に置かれている地域を数百回攻撃してきたが、空爆を行ったと認めたことはほとんどない