シリア暫定政府とクルド民兵SDFが捕虜交換、緊張緩和に向けた一歩

SDFは2015年以来、シリア北部のクルド人自治区を支配している。
シリア、北部アレッポ県、アサド政権の崩壊を祝う人々(Getty Images)

シリア暫定政府とクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が2日、今年3月の合意に基づき、400人を超える捕虜を交換した。

捕虜交換は北部アレッポで行われた。同様の捕虜交換は先月にも行われていた。

暫定政府は声明で、「双方が470人の捕虜を解放した」と述べた。

また政府は「近い将来、さらなる捕虜交換を行う予定である」と明らかにした。

暫定政府は3月、SDFと国家機関を統合することで合意に達したと発表。シャラア(Ahmed al-Sharaa、通称ジャウラニ)暫定大統領が首都ダマスカスでSDFのアブディ(Mazloum Abdi)司令官と会談した。

合意にはシリア全土での停戦と、親アサド派との戦闘におけるSDFによる政府への支援が含まれている。

またSDFはシリアに不可欠な存在であり、市民権を持ち、憲法上の権利が保証されていることも確認している。

SDFは2015年以来、シリア北部のクルド人自治区を支配している。

この合意が履行されれば、その地域は中央政府の完全な支配下に置かれることになる。

6カ月前にSDFに拘束されたという男性はロイター通信の取材に対し、「イスラム国(ISIS)のメンバーが収容されている刑務所に入れられていた」と語った。

オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1984年に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。

SDFは米政府の支援を受け、シリアにおけるISISとの戦いで主導的な役割を果たしてきた。その先頭に立つのは「クルド人民防衛部隊(YPG)」で、トルコ政府はこれをテロ組織に指定している「クルド労働者党(PKK)」の同盟組織とみなしている。

トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は先週、SDFがシリア暫定政府との統合協議で「時間稼ぎ」をしていると非難した。

SDFは昨年末、シリア北部のトルコ国境付近の領土を奪還するため、トルコ政府が支援する「シリア国民軍(SNA)」に対する反攻を開始した。

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