シリア・スウェイダの病院で武装兵が男性殺害、映像出回る、内務省が調査

殺害スウェイダでは先月13日、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
2025年7月20日/シリア、南部スウェイダ県(AP通信)

シリア内務省は11日、南部スウェイダ県の病院で軍服を着た男たちが医療従事者とみられる男性を処刑する映像が確認されたことを受け、調査を行うと表明した。

同省は声明で、「スウェイダの病院で記録された衝撃的な映像を確認し、この行為を最も強い言葉で非難し、断固拒否する」と述べた

また同省は「関係機関に容疑者を特定し、裁判にかけるよう命じた」と明らかにした。

この映像はスウェイダ国立公園内の防犯カメラが記録していた。

迷彩服を着た4人の男と背中に「内務省」と書かれた黒い制服を着た1人の男が映っている。

5人の男の前には白衣を着た20人ほどの医療従事者とみられる人々が膝をつき、両手を上げている。

迷彩服を着た2人の男が医師とみられる男性を掴み、座らせるように叩いている。

この男性は間もなく射殺され、男たちが遺体を引きずる様子が映っていた。他の人々がどうなったかは分かっていない。

ロイター通信は目撃者の話しとして、「5人組は医療従事者たちを近くの部屋に閉じ込め、全フロアを捜索した後、立ち去った」と伝えている。

スウェイダでは先月13日、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。

ドルーズ派はイスラム教シーア派の分派のひとつ。世界の約100万人のドルーズ派の半数以上がシリアに住んでいる。

他のドルーズ派のほとんどは1967年の第三次中東戦争でイスラエルがシリアから奪取し、1981年に併合したゴラン高原を含むイスラエルに住んでいる。

地元当局は一連の戦闘で1000人以上が死亡、数千人が負傷したと報告している。

暫定政府は衝突発生直後に軍を派遣したものの、ドルーズ派の保護を名目にイスラエル軍が軍事介入したため、いったん撤退。イスラエル政府はその後、シリア軍がスウェイダに立ち入ることを許可した。

ベドウィンは7月20日までにスウェイダから撤退。それ以来、国軍が治安維持任務に当たっている。

暫定政府は今月初め、この宗派間抗争を調査する委員会を立ち上げた。

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