◎国連は12日、アサド政権に対し、反対派が支配する地域に援助を届ける境界線の通行許可を延長するよう求めていた。
シリア政府は13日、今年2月に発生した大地震の被災地につながる境界線の通行許可期間を3カ月間延長すると発表した。
シリアの国連大使はツイッターに声明を投稿。「アサド政権は国連とその関係機関に対する2つの境界線の通行許可期間を8月13日まで延長することに合意した」と書き込んだ。
また同大使は「政府と国連はシリアで生活する全ての人々の人道状況を改善することで一致した」と述べた。
同国の大部分を支配するアサド(Bashar al-Assad)大統領は地震発生から1週間後の2月13日に2つの境界線を3カ月間解放することに合意した。
これにより、北西部のクルド人が支配する地域に一定の援助が届くようになった。
国連は12日、アサド政権に対し、反対派が支配する地域に援助を届ける境界線の通行許可を延長するよう求めていた。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は13日の声明で、「シリア外相はグリフィス(Martin Griffiths)事務次長(人道問題担当)に通行許可期間を3カ月間延長すると通知した」と述べている。
この2つの境界線は2020年に閉鎖された。国連の輸送隊がこの線を超えたのは数年ぶりであった。
アサド政権は内戦勃発以来、クルド人武装勢力が支配する地域への援助物資輸送に強く反対してきた。
国際援助団体「国際救済委員会(IRC)」は「地震発生直後(2月6日)に境界線を解放していれば、もっと効果的に救助・捜索活動を行うことができた」と指摘している。
OCHAは同国北西部で地震発生前から支援を必要としていた400万人以上の市民に援助を自由に提供できるようアサド政権に働きかけている。
またOCHAは北西部の紛争地やトルコ国境を越えて自由に援助物資を送り届けたいとしている。