シリア復興には「相当な」国際支援が必要=IMF

IMFの代表団は今月初めにシリアを訪問。5日間の滞在中、財務相や中央銀行総裁などと会談した。
シリア、イスラム国(ISIS)との戦闘で荒廃した町(Getty Images)

国際通貨基金(IMF)は10日、シリア暫定政府が経済の復興、緊急の人道支援ニーズの対応、インフラの再建に向けた努力を進めるためには「相当な」国際支援が必要だと明らかにした。

IMFの代表団は今月初めにシリアを訪問。5日間の滞在中、財務相や中央銀行総裁などと会談した。

IMFは声明で、「シリア内戦は莫大な人的被害をもたらし、経済を以前のほんの一部にまで縮小させた」と述べた。

またIMFは「紛争と避難により行政能力が弱体化したものの、財務省と中央銀行の職員は強い決意を示している」とした。

アサド(Bashar Assad)前大統領は昨年末、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。

EUは先月末、アサド政権時代に科した対シリア経済制裁を解除。米財務省も先週、暫定政府・中央銀行・国有企業との取引を許可する命令を発行した。

これによりアサド政権時代に科された制裁は緩和され、シリアへの投資が可能になった。

内戦中、約600万人が国外に逃亡。国連は残った人々の90%が極度の貧困状態にあり、人道支援に依存して生き延びてきたと推計している。死者数は50万~60万人と推定されている。

国連は2017年、シリアの再建に約2500億ドル(約36兆2180億円)かかると推定した。アサド政権が打倒されて以来、その数字は4000億ドル(約57兆9500億円)に上ると推定する専門家もいる。

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