シリア大統領が南部の少数民族に停戦呼びかけ、スウェイダで戦闘続く

スウェイダでは先週末、ベドウィンと地元の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
2025年7月18日/シリア、南部スウェイダ県、ドルーズ派の民兵(AP通信)

シリア暫定政府のシャラア(Ahmed al-Sharaa)大統領は19日、スウェイダ県のドルーズ派とアラブ遊牧民ベドウィンに対し、武器を置き、戦闘を終結させるよう呼びかけた。

スウェイダでは先週末、ベドウィンと地元の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。

スウェイダでドルーズ派を巻き込む暴力が発生したのは数カ月ぶりであった。

ドルーズ派はイスラム教シーア派の分派のひとつ。世界の約100万人のドルーズ派の半数以上がシリアに住んでいる。

他のドルーズ派のほとんどは1967年の第三次中東戦争でイスラエルがシリアから奪取し、1981年に併合したゴラン高原を含むイスラエルに住んでいる。

現地メディアによると、シャラア氏の呼びかけ後も一部地域で戦闘が続いているという。

被害の全容は明らかになっていない。イギリスのNGOシリア人権監視団は少なくとも638人が死亡し、犠牲者の数は増える可能性が高いと報告している。

暫定政府は衝突発生直後に軍を派遣したものの、ドルーズ派の保護を名目にイスラエル軍が軍事介入したため、いったん撤退。イスラエル政府は18日、シリア軍が2日間スウェイダ県に立ち入ることを許可した。

シャラア氏はテレビ演説で、スウェイダ出身の武装グループがベドウィンとその家族に対する報復攻撃を仕掛けたことで、紛争を再燃させたと非難した。

またシャラア氏はイスラエルの介入が「国を危険な段階に追い込んだ」と強調した。

米国のシリア特使は19日、イスラエルとシリアが19日早朝に停戦に合意したと発表した。

シャラア氏はこの停戦に言及しなかったが、「平穏と取り戻すために、米国とアラブの同盟国が調停を仲介した」と述べた。

国連は一連の砲撃や銃撃などにより、7月12日以降、スウェイダ全域で8万7000人以上が避難を余儀なくされたと推定している。

シリアでは4月と5月にもドルーズ派を巻き込む衝突やテロが相次ぎ、数十人が死亡した。

暫定政府は少数民族、特に北東部のクルド人や南部のドルーズ派との政治的和解を達成するのに苦労している。

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