◎国連によると、11年に及ぶ絶望的なシリア内戦の犠牲者は40万人近くに達したという。
シリアのアサド(Bashar al-Assad)大統領は8日、イランの首都テヘランを電撃訪問し、最高指導者のアリ・ハメネイ(Ayatollah Ali Khamenei)師とライシ(Ebrahim Raisi)大統領と会談した。
イランの国家安全保障会議によると、アサド大統領は8日午前にテヘランを予告なしに訪問し、ハメネイ師とライシ氏と会談し、同日中にシリアに戻ったという。
ハメネイ師はアサド大統領に対し、「シリア内戦での勝利が政府の信頼性を高めている」と述べたとされる。「今日のシリアは戦前のシリアではない。シリア政府の尊敬と信頼ははるかに高まり、全世界がシリア政府を信頼している」
またハメネイ師は宿敵イスラエルとの関係を正常した国を非難し、「それらの国々は反ユダヤ主義を唱えているにもかかわらず、イスラエルにすり寄っている」とした。
アサド大統領がイランを訪問したのはシリア内戦が始まって以来、2度目とされる。
2019年の首脳会談には米国に暗殺されたソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官も参加した。
ハメネイ師はソレイマニ司令官を偲び、「アサド大統領の努力は1988年に集結したイラン・イラク戦争と同じである」と述べた。「つまり、両国のつながりは必要不可欠であり、弱めることを許してはならず、可能な限り強化しなければならない」
アルジャジーラによると、アサド大統領は過去40年の地域問題、特にパレスチナ問題に対するイランの姿勢は正しく、唯一の道であると述べたという。「戦争による破壊は修復できますが、信仰や信念は修復できません...」
国連によると、11年に及ぶ絶望的なシリア内戦の犠牲者は40万人近くに達したという。戦闘で国土の大部分は廃墟と化し、人口の半分以上が避難民になり、数百万人が近隣諸国に逃亡した。
アサド大統領の対テロ作戦はロシアの軍事支援で激化し、生物化学兵器や過剰な空爆で多くの民間人が犠牲になった。
一方、ライシ氏はアサド大統領に対し、シリアの一部地域は以前として外国勢力に支配されていると嘆き、「占領軍を追い出す必要がある」と述べたとされる。
またライシ大統領は、「湾岸地域におけるシオニスト政権(イスラエル)の脅威に対処しなければならない」とした。
シリア大統領府は会談後にアサド大統領の声明を発表した。「アラブ諸国はパレスチナを含むさまざまな問題で協力しており、一部の国の妥協が我々に良い結果をもたらしています...」
アサド大統領は3月にUAE(アラブ首長国連邦)を訪問した。一方、UAEとバーレーンは2020年にイスラエルと外交関係を樹立し、他のアラブ諸国もこれに続いた。