シリア暫定政府、3地域の議会選挙延期へ、選管が発表
210人の議員からなる人民議会(一院制)の選挙は9月15日から20日の間に実施される予定だ。
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シリアの選挙管理委員会は23日、来月予定されている議会選挙について、安全保障上の懸念から、南部スウェイダ県を含む3地域の投票を延期すると発表した。
スウェイダでは先月13日、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
ドルーズ派はイスラム教シーア派の分派のひとつ。世界の約100万人のドルーズ派の半数以上がシリアに住んでいる。
他のドルーズ派のほとんどは1967年の第三次中東戦争でイスラエルがシリアから奪取し、1981年に併合したゴラン高原を含むイスラエルに住んでいる。
地元当局は一連の戦闘で1000人以上が死亡、数千人が負傷したと報告している。
選管は米政府の支援を受けるクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が支配する地域などについても、安全な環境が整うまで投票を延期すると発表した。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は当局者の話しとして、「3地域に割り当てられた議席は選挙を行うまで空席のままとなる」と報じた。
この当局者は「選挙は主権問題であり、政府の完全な支配下にある地域でしか実施できない」と付け加えた。
クルド人自治区はこの決定を即座に批判した。
北部と東部を支配するクルド当局は24日の声明で、「この選挙は民主的ではなく、シリア人の意思を何ら反映していない。これは排除と差別的なアプローチの継続に他ならない」と述べた。
210人の議員からなる人民議会(一院制)の選挙は9月15日から20日の間に実施される予定だ。
暫定政府はスウェイダでの衝突発生直後、軍を派遣したものの、ドルーズ派の保護を名目にイスラエル軍が軍事介入したため、いったん撤退。イスラエル政府はその後、シリア軍がスウェイダに立ち入ることを許可した。
ベドウィンは7月20日までにスウェイダから撤退。それ以来、国軍が治安維持任務に当たっている。
暫定政府は3月、SDFと国家機関を統合することで合意したと発表。シャラア(Ahmed al-Sharaa)暫定大統領が首都ダマスカスでSDFのアブディ(Mazloum Abdi)司令官と会談した。
SDFは2015年以来、シリア北部のクルド人自治区を支配している。
この合意が履行されれば、シリア北部は暫定政府の支配下に置かれることになる。
SDFは米政府の支援を受け、シリアにおけるイスラム国(ISIS)との戦いで主導的な役割を果たしてきた。その先頭に立つのは「クルド人民防衛部隊(YPG)」で、トルコ政府はこれをテロ組織に指定している「クルド労働者党(PKK)」の同盟組織とみなしている。
SDFは昨年末、シリア北部のトルコ国境付近の領土を奪還するため、トルコ政府が支援する「シリア国民軍(SNA)」への攻撃を開始した。