シリア暫定政府とクルド系組織SDFが衝突、非難の応酬に
SDFは2015年以来、シリア北部のクルド人自治区を支配している。
の兵士(Getty-Images).jpg)
シリア国防省とクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が2日、北部アレッポ県マンビジュで発生した戦闘の責任をなすり付け合った。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は国防省の声明を引用。「SDFがマンビジュ郊外の軍の前哨基地に対してロケット弾を撃ち込み、兵士4人と民間人3人が負傷した」と報じた。
同省は攻撃を「無責任で正当性のないもの」と非難した。
米国の支援を受けるSDFは声明で、「政府軍内の一派が民間人居住地域に10発超の砲弾を撃ち込んだため、反撃した」と主張。負傷者には言及しなかった。
暫定政府は3月、SDFと国家機関を統合することで合意に達したと発表。シャラア(Ahmed al-Sharaa)暫定大統領が首都ダマスカスでSDFのアブディ(Mazloum Abdi)司令官と会談した。
この合意は14年にわたる内戦で分断された国を再統合し、シリアの4分の1を支配するクルド系勢力と政府の統合の道筋をつけることを目的としている。
合意にはシリア全土での停戦と、親アサド派との戦闘におけるSDFによる政府への支援が含まれている。
またSDFはシリアに不可欠な存在であり、市民権を持ち、憲法上の権利が保証されていることも確認している。
SDFは2015年以来、シリア北部のクルド人自治区を支配している。
この合意が履行されれば、その地域は中央政府の完全な支配下に置かれることになる。
SDFは米政府の支援を受け、シリアにおけるイスラム国(ISIS)との戦いで主導的な役割を果たしてきた。その先頭に立つのは「クルド人民防衛部隊(YPG)」で、トルコ政府はこれをテロ組織に指定している「クルド労働者党(PKK)」の同盟組織とみなしている。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領はSDFがシリア暫定政府との統合協議で「時間稼ぎ」をしていると主張している。
SDFは昨年末、シリア北部のトルコ国境付近の領土を奪還するため、トルコ政府が支援する「シリア国民軍(SNA)」に対する反攻を開始した。
マンビジュでも戦闘が続いており、SNAとSDFが散発的に衝突している。