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シリア国軍がクルド地域に進駐、SDFとの停戦合意に基づき

これはクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」と暫定政権との間で締結された合意の一環で、両者が1月末に結んだ停戦と安定化協定の実行段階に入ったことを示す動きだ。
2026年2月2日/シリア、北東部ハサカ、国軍の車列(ABCニュース)

シリア北東部で2日、内務省所属の治安部隊が主要都市ハサカに入った。これはクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」と暫定政権との間で締結された合意の一環で、両者が1月末に結んだ停戦と安定化協定の実行段階に入ったことを示す動きだ。今回の合意は数週間にわたるSDFと中央政府間の戦闘を終結させ、治安部隊や民政機構の統合に向けた具体的な道筋を描いている。

合意では、国軍がクルド地域の中心部に部隊を進めないことが明記されている一方、内務省所属の比較的小規模な治安部隊はハサカとカミシュリなどの都市に入り、住民登録局、パスポート局、空港など国家機関の管理を再開する権限が与えられた。これにより長年SDFの統治下にあったこれら都市で、中央政府の公的サービスが段階的に再開される見込みだ。

ハサカでの治安部隊の展開は平和裏に進行し、現地の治安環境はおおむね安定しているとの報告がある。報道によると、内務省の部隊は15台前後の車両および120人規模で同市に入り、衝突や抵抗は確認されていないという。周辺地域でも同様の部隊がカミシュリ方面へ進み、将来的にこれら地域への段階的な展開が進む可能性がある。

SDF側は今回の合意について、治安維持および地域住民の安全確保を目的としたものだと説明している。SDF総司令官の発言では、双方の協力により住民への被害を防ぎ、暴力の連鎖を避けることが狙いだとされる。14年に及ぶ内戦のなかで、SDFが独自に統治してきた北東部地域を中央政府と協調しつつ管理する試みは初めてである。

今回の合意はSDF側の軍部門と内務省所属の治安部隊との関係を再構築しつつ、中央政府がこれまで関与してこなかった地域への国家統合を図るものだ。合意には軍隊としての統合だけでなく、行政機構の吸収や地域の政治的枠組みの再編といった長期的な要素も含まれており、SDFがこれまで維持してきた自治的な統治モデルの変容を促す可能性がある。

これまでSDFが独自に管理してきた都市や地域では、クルド語による教育や文化的権利など自治権が一定程度尊重されてきた。合意の実施が進めば住民サービスの再開や公的機関の運営正常化が期待されるが、一方で中央政府による統制強化や治安再編が地域住民の生活や自治意識にどのような影響を及ぼすかは不透明な面も残る。

国際社会、とりわけ米国やフランスはこの合意を停戦と地域安定化への前進と評価している。シリア内戦では複数の勢力が交錯し、中央政府とクルド勢力の間でも衝突が続いていたが、今回の協定は両者の対立解消とともに、国内の再統合プロセスの一部として位置づけられている。ただし、合意の持続性や実際にどの程度の自治が維持されるかについては慎重な見方もある。

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